タレント・ミュージシャンのモト冬樹さんが保護したスズメの飼育を続けており、違法な飼育ではないかと指摘されている(週刊女性)。スズメに限らず、住宅管理と野鳥との関係は複雑だ。なかでもハトに住み着かれると思わぬトラブルを招くこともある。(リビンマガジン Biz編集部)


(画像=写真AC)

ハトはマンション・集合住宅の大敵

「1つでもハトの巣を放置してしまうと、ハトがどんどん増えてしまいます。追い払っても何度でも戻ってくる。マンション管理の大敵ですよ」と苦々しく語るのは、都内を中心に賃貸物件を管理する一誠ハウス(東京都江戸川区)の倉持誠代表だ。

景観や糞の問題などの害があり、対策は一筋縄ではいかない。

ハトを住み着かせないためにできる対策方法は様々だ。

まず一般的なのがハトよけの忌避剤と呼ばれるものだ。ホームセンターなどで販売されており、簡単に手に入る。忌避剤はハトの嫌がる臭いの成分を含んであり、ハトの集まりやすい非常階段やベランダなどで使用する。

最も手軽なのがスプレータイプで、噴霧するだけで効果を発揮する。可能であれば毎日行うことで効果があがる。ホームセンターなどで1,000円前後で手に入る。

次に手軽なのが吊り下げる放置タイプのものだ。スプレーよりも効果があるといわれ、ベランダなどで吊り下げて使う。1,000円~2,000円で購入できる。複数個を同時に使用すると効果が高くなる。

最も効果があるといわれるのがジェル状のものだ。ハトが止まる場所に塗って使用する。ハトが嫌がる臭いを出すだけでなく、体に付着することで効果を発揮する。ネバネバしたジェルが羽や足などにつくと、ハトも気持ち悪く感じるという。付着したジェルを、くちばしなどでとろうとすると匂いがきついためさらに嫌がる。塗ってから1年ほどは効果が持続するといわれる。専門の販売サイトなどから3,000円から購入できる。忌避剤の中では最も強力とされ、早ければ2~3日ほどで効果を発揮する。一方で、居住者の衣服などにも付着するため、塗れる場所が限られることも留意しておきたい。

それぞれの特性を踏まえつつ、場所や状態ごとに使い分けると良いだろう。

巣を作られると対処はできない

いったん巣を作られると忌避剤の効果は限られることは、知っておきたい。

ハトには作った巣に戻ってくる習性がある。帰巣本能と呼ばれるもので、かつての連絡手段が乏しい時代に伝書鳩として活用された所以である。今でもハトレースなどがあり、愛好家が大勢いる。研究によると1,000キロ以上も離れた場所からも帰巣するといわれる。それほど強い本能を持つため、マンションなどに一度住み着くと大変なのだ。忌避剤があっても、巣を破壊しても、何度も戻ってくる。

さらにハトは繁殖力が強い鳥としても知られる。一度、巣を作ると平均して6~9回ほどの産卵をする。一回の産卵で2個ずつ卵を産むことが多い。都会には野生動物が少なく、外敵のいない環境のため、産んだひなのほとんどが成鳥になる。巣ができると、あっという間に増えていく。

早めの対策が必要で、ハト避けネットなどが一般的だが、わずかな隙間を見つけて戻ってくることも多い。さらに、ネット張り中に転落などの重大事故も考えられるため、素人の生兵法はおすすめできない。


防鳥ネット(写真=写真AC)

許可無い捕獲は禁止

最も効果的なのは捕獲してしまうことだが、許可なく鳩を捕まえたり雛を取り上げたりすると、鳥獣保護に関する法律に触れる恐れがある。過去には無許可で捕獲したため、愛鳥団体の関係者に見とがめられ、通報されてしまった管理会社もある。

結局、捕獲許可を持つハト駆除の専門会社に依頼するしかないのが実情だ。そうなれば相応の費用がかかるため、ハトに巣作りをさせない方法を徹底する必要がある。

前述の忌避剤などを使い、ハトが休むスペースをなくすなどが必要である。

さらに入居者に、ハトに餌をやらないことを徹底させる必要もある。対策が面倒なので、ハト対策を入居者任せにした結果、一部の住人がハトに情がわいてしまい餌付けをはじめてしまうことも多々あるという。ハトは一度つがいになると一生を添い遂げるとも言われており、子育てをする姿はなかなか微笑ましいものもある。身につまされて、ついつい餌を…というのは、ままある話のようだ。

しかし、ハトの個体数が増えれば、大量の糞に悩まされることになる。糞に含まれるカビは感染症を引き起こすこともあり、放置してはいけない。掃除中に糞を吸い込むこともあるため、鳩をマンションから追い出さない限り安全な住まいとはいえなくなる。

まずは巣作り防止に努めたい。

 
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