不動産仲介で得られる報酬の上限については宅建業法で定められているのはご存じの通り。しかし、そうとは限らないという報道があった。どうやら芸能人客を専門にした不動産仲介会社が存在しており、記事によると手数料とは別に「莫大なコンサルティング料」を受け取っているという。東スポWebなどで報じられている。果たして、そんなことが許されるのか。(リビンマガジン Biz編集部)

報道によると、パパラッチ対策として、芸能人の部屋探しに大きな変化が起きているという。

これまで、芸能人の密会といえば、シティーホテルやどちらかが住むマンションで行われるのがほとんどだった。しかし、SNSやスマホが発達したことにより、目につきやすいホテルでのデートは命取りになる。さらにマンションに通うのは、週刊誌の餌食になるため、これも危険になった。そこで、同じマンションの別々の部屋を借りて住むパターンが激増しているという。これなら、オートロックの向こうでは自由に過ごせる。


※画像はイメージです (画像=ぱくたそ)

東スポWEBによると、これには芸能人を専門の不動産仲介業者が影響しているという。

元大手芸能プロのマネジャーだった男性が立ち上げたこの業者では、

“同じ階や隣、向かい合わせなどをペアで空いている部屋を常時100部屋以上もキープしている(原文ママ)”といい、芸能人同士のカップルが重宝しているらしい。

過去には、店頭に訪れた芸能人夫婦の情報が、不動産会社従業員のSNSを通じて拡散されてしまった事件もあった。そういった経緯から、一般的な不動産会社も情報漏洩の対象だと考え、より信頼できる会社に依頼したいと思うのは当然だろう。

うまくニーズを捉えたものだと感心している場合ではない。不動産会社として気になるのは、それに続く部分だ。

もちろん、契約成立時には、法定で定める仲介料の他に莫大なコンサル料が入ってくる。”というのだ。

仲介会社にとっても、手数料以外の莫大なコンサルティング料が入ってくるのであれば、新たなビジネスチャンスが広がる話である。しかし、仲介手数料にプラスしてコンサルティング料をもらうことはできるのだろうか。

国交省によると、仲介会社がコンサルティング料を請求できるのは、媒介業務とは区分された明確なコンサルティング業務があった場合のみだ。

例えば、土地を購入して物件を建て、賃貸経営をしたいと考えている買主がいた場合、仲介会社は土地の媒介業務を行う。それに加えて、建てる物件に関する相談や、キャッシュフロー表制作といった、媒介業務外の業務をした場合はコンサルティング料を請求できる。その場合、事前にコンサルティング料が仲介手数料とは別に発生するという契約を締結する必要がある。また、コンサルティング内容は、書面などで提出することが望ましい。

上記の例は、土地の売買において、購入後の経営をコンサルティングした場合だ。記事にある賃貸仲介においては、どういったコンサルティング業務が発生するのかはイメージが湧きにくい。


(画像=写真AC)

そもそも宅建業法では、不動産取引に関する情報漏洩を禁止している。そういった点では、事件になった一部のケースを除いては、基本的に情報流出の危険性はないはずである。

国交省によると、不当なコンサルティング料の請求は、宅建業法の指導対象になる可能性もあるという。芸能人の賃貸仲介において莫大なコンサルティング料の請求は現実的ではないのだ。

 
  • line
  • facebook
  • twitter
  • line
  • facebook
  • twitter

本サイトに掲載されているコンテンツ (記事・広告・デザイン等)に関する著作権は当社に帰属しており、他のホームページ・ブログ等に無断で転載・転用することを禁止します。引用する場合は、リンクを貼る等して当サイトからの引用であることを明らかにしてください。なお、当サイトへのリンクを貼ることは自由です。ご連絡の必要もありません。

このコラムニストのコラム

このコラムニストのコラム一覧へ