管理会社にとって鍵の管理は悩みの種だ。紛失や盗難のリスクに加え、不届きな社員が悪用し犯罪にまで発展することもある。ニーズに応えるように、ITサービスが続々と出てきている。(リビンマガジン Biz編集部)
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■鍵の取り扱いは大変
鍵管理で最もリスクが高いのは、鍵を持ち出すときである。誰が、いつ、何のために持ち出したのか管理できていない会社が多い。記録がないので、最後に誰が持ち出したのか分からなくなり、責任の所在が不明になる。記録が重要なのだ。
■続々と出てくる鍵管理システム
不動産管理システムのネオス(福岡市)では、鍵にストラップのような専用のバーコードを取り付け鍵の持ち出しを記録するサービスを開発した。専用の保管場所から鍵を持ち出持ち出す際には、社員のIDを入力する必要。返す時にもIDを入力する。保管場所からに移動は、全て記録される。読み取るだけで、部屋の詳細や持ち出し履歴が表示される。誰が、いつ、何のために持ち出したのかが一目瞭然になるのだ。
鍵の型番で管理できるシステムもある。
管理システムのいい生活(東京)では、型番で管理する仕組みを開発した。同社の主力商品ESいい物件ONEは賃貸管理の業務を一元管理できるものだが、標準サービスとして鍵管理機能が付いている。パソコン上に鍵の型番を入力するだけで一元管理できる。
標準サービスいい生活によると、今まで鍵の管理にコストを掛けてこなかった管理会社も多く、急に厳重にしようと言っても増えていかない、と話す。
鍵を社内だけでなく、物件の近くに据え置いた暗証番号付きのキーボックスで管理している会社もある。安全に運用するためには、定期的に暗証番号を変える作業が発生する。そういった手間をなくすシステムとして、イタンジ(東京)は、スマートキーボックスの運用を開始した。
これは一回きりのワンタイムパスワードが発行し、その番号を担当者のスマホで確認できるサービスだ。これで、番号が流出する心配はなく、誰が使っているかも知ることができる。
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■犯罪の温床になる空き物件
しかし、どのサービスも社員が悪用することまでは防げない。今年2月には女優宅に管理会社社員が合鍵を使って侵入する事件が起きた。
また、鍵管理が甘ければ、空室を犯罪に使われることもある。違法な取引に使われたり、ECサイトの詐欺に使われたりしている。
実際の鍵を持っていなくても型番を伝えるだけで合鍵を作れる時代である。鍵管理はますます難しくなっていく。
鍵管理の失敗は、管理会社だけでなく、業界全体の信頼に関わることだ。対策のために、知恵を結集するべき課題だ。