新たな不動産投資先としてデータセンターが注目されている。他の不動産よりも高い利回りが期待できるという。耳慣れないデータセンター投資について取材した(リビンMagaZine Biz編集部)
■データセンターとは
データセンターとは、コンピューターを24時間稼働させることのできる建物・設備のことだ。インターネットやITシステムなどの情報技術が高度化、普及していったことにより、サーバールームとしてのデータセンターの需要が増えている。
コンピューターシステムの保守は難しく、熱を逃がすための空調システムや安定した接続環境が必要になる。さらにセキュリティも考慮しなければいけない。サーバーからクラウドで情報を入手できるようになったため、よりシビアな運用や保守をするために堅牢なデータセンターが必要になったのだ。
(画像=CBREのプレスリリースより)
日本国内のデータセンター施設数は多くなく、不足しているのが現状だ。高い需要を見て、不動産投資としても注目されるようになった。
現在、多くのサーバー運営事業者が建物を保有しデータセンターを運営している。しかし、諸外国では建物の所有とセンターの運営とは切り離されて取引されることが多いという。日本でも、そういった動きが増え、投資しやすくなったことから、関心を集めている。
一度、稼働が始まれば15年~20年は継続されるという。さらに、安定して5%~6%の運用ができるという。3~4.5%といわれる、オフィスビルや賃貸マンションにくらべ高い利回りが期待できるのだ。
■不動産投資としてのデータセンター
不動産会社としても新たな土地、建物の有効活用として、期待されている。しかし、運用できる場所は限られている。事業用不動産のCBRE(東京・千代田)によると、土地選定のポイントは大きく分けて3つあるという。
1つ目が、多くの電力が確保できること。具体的には、6万ボルト以上の特別高圧による受電ができなければならない。
2つ目は、通信環境だ。センターと通信するコンピューターが近ければ近いほど高品質な通信環境を確保できる。都心、いわゆる東京または大阪から50km圏内が目安になるという。
3つ目が、災害のリスクが低い地域だ。災害によって建物が壊れてしまえば、通信ができなくなってしまう。
このポイントの中でも一番問題になる部分は、特別高圧の受電についてだろう。
特別電圧は受電までに時間がかかり、3年から5年はかかると言われている。そのため、すでに設備が整備されている工場跡地などの遊休地などが向いている。
東京でいうと、八王子市や多摩市などはすでに、データセンターがあるため、条件は整っている地域が多い。
データセンターの施設内 (画像=pixabay)
■遊休地の新たな活用方法
先ほど述べたデータセンターに合う土地を探す不動産会社も増えつつある。工場跡地など使い道のない遊休地を持て余しているのであれば、データセンターのような新たな使い道として考えてみるのもいいだろう。
これから伸びていくと予想されるデータセンターの市場について知っておくだけでも、いざという時に知識が役立つかもしれない。