不動産会社は同業種間の連絡のほとんどをFAXを使っておこなっていることが分かった。民間会社が不動産会社にアンケートを取った。IT化が進んでいる昨今、どうして不動産業界はFAXを多用しているのか取材をすると、旧来のやり方に縛られている現状が分かった。(リビンマガジン Biz編集部)

■不動産会社のFAXの使用率

アンケートによると、不動産会社間の物件のやり取りで9割以上をFAXでおこなっていると答えた。総務省の統計によると、FAXの保有台数は家庭・企業を含めて平成21年の57.1%をピークに平成28年には38.1%まで落ちている。それにも関わらず、不動産業界では多くの企業が今もFAXを多用している。

実際に不動産会社は普段どれくらいFAXを使っているのだろうか。都内にある老舗不動産会社では、閑散期でも一日に70から100枚も送るという。また、ある不動産会社でも一日に30から50枚、繁忙期になると約2倍である70枚以上のFAXを送るという。

■どうしてFAXなのか

都内にある不動産会社のミトミによると、繁忙期はどの不動産会社も多くの客を抱えている。だから、物件を他の不動産会社に取られないように業者間の連絡はとにかく早くしなければいけない。FAXだとメールよりも早く相手に伝えられるため、今も多用しているという。また、メールだと、迷惑フォルダに振り分けられる可能性もあるし、セキュリティ面でFAXに劣るとも話す。これから10年以上はこの状態が続くのではないか、と予想する。FAXを超えるスピードと便利さを兼ね備えたものが現れないと、この状態は変わらないという。


(画像=写真AC)

■本当にFAXの方が早いのか

不動産業界はFAXを多用してきた業界だ。不動産コンサルタントによると、不動産会社はメールの利用があまり好きではないと語る。相手の会社から資料がFAXで送られてくるから、FAXで返信するだけで、実際はメールやITを駆使した方が今より業務スピードを上げられる可能性もある。また、FAXだと文字が潰れてしまうなどの問題もあり、必ずしも効率的だと言い切れない。

どちらが便利で効率的なのか、メールとFAXを比べてないにも関わらず、FAXの方が早く伝えられると決めつけるのは尚早ではないだろうか。

 
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