不動産鑑定評価の東京カンテイによる調査で物件価格の下がりづらいエリア・駅がわかった。この調査では物件価値を測る指標として、投資で使う利回りを実住の不動産評価に当てはめて算出したという。(リビンマガジン Biz編集部)
■古い物件でも高い不動産価値を持っている
調査結果では、神楽坂や広尾、麻布十番といった高級住宅地や東京の西側、いわゆる城南、城西エリアが物件価値が下がりづらいという結果が出た。結果から見ると、都内でも有数の高級住宅地と言われているエリアが高い数値を出した。
調査方法は、過去3年で流通した築30年の物件の利回りを算出した。利回りは、賃料と不動産価格の割り算で出す。一般的に不動産価格が下がれば、利回りは増えていく。つまり、利回りの低い物件は不動産価値が高く、購入する上では良いということになる。
首都圏の平均利回り (画像=東京カンテイ)
利回りが低ければ投資家は手を出さない。一方で、実需に目を向けると利回りが低い物件を買えば、30年後も価値が下がりづらい物件で、もし売った場合も売却差額が小さい物件となる。首都圏(東京・神奈川・千葉・埼玉)で築30年を経ている物件の平均利回りが6.19%だった。同じ築30年経過した物件で利回りが一番低かった駅が牛込神楽坂で3.69%だった。
■利回りで算出する不動産価値
この利回りを用いて物件価値を算出する方法は、どのような効果があるのか。
調査をおこなった東京カンテイによると、他の物件価値の算出方法としては、新築分譲時の価格と中古流通時の価格を比べて新築時の何倍になっているかを表すマンションPBRという指標がある。この指標では、数値が1を超えれば中古物件の方が価格が高く取引されたことになる。一概には言えないが、マンションPBRだと築年数ごとの物件価値が出しづらい傾向がある。それは、中古物件がいつ市場に出されるか分からないからだ。それに比べて利回りの場合、築年数ごとに流通された物件を見て算出することができる。そのため、築年別に価値を測る際は、利回りで見た方が分かりやすい。
物件の価値は、時代や景気などで大きく変わってくる。今回の調査では投資で使われる利回りという指標を用いた。マンションの資産価値は不動産従事者や消費者を問わず、気になる数字だ。東京カンテイによると、売買の判断材料として見るのはいいが、ひとつではなく他の指標も見てみることで、より精緻なデータがわかるとみている。
利回りが低い駅ランキング (画像=東京カンテイ)