ターミナル(東京都・港区)が開発したおとり広告検知システムを大手不動産FCのApaman Networkが導入した。不動産業界の悪しき伝統の撲滅に、情報テクノロジーが役立つかもしれない。(リビンマガジン Biz編集部)
なくならない、おとり広告
今年8月末、福岡県が県内の不動産会社を行政処分した。不動産会社が掲載していた、いわゆる「おとり広告」が景品表示法違反にあたるとして、再発防止を求める措置命令をくだしたのだ。
首都圏公正取引協議会によると、昨年度の調査対象物件は2312件にのぼる。228の事業者に指導を行った。
(画像=写真AC)
おとり広告は以前まで業界用語だったが、今では世間一般にも知られる言葉となった。不動産業界のイメージを大きく失墜させ続けている悪しき習慣である。ターミナルが開発したおとり広告検知システムである「trueper」(トゥルーパー)は、ネット上のおとり広告の一掃を狙ったものだ。
1000万件の物件情報と照合
trueperは、インターネット上に公開されている膨大な不動産情報の中から、取引が可能な物件だけを表示させるシステムだ。
例えば、不動産会社Aが契約可能な物件情報を不動産ポータルサイトに登録する。そして、不動産会社Bは契約済み物件情報を登録したとする。trueperを導入しているポータルサイトであれば、不動産会社Aの物件情報しか表示されなくなる。ターミナルはこの検知システムの開発するため、約1000万件の不動産情報を集めた。
「trueper」の概略図 (画像=ターミナル提供)
賃貸仲介FC大手のApaman Networkが導入し、アパマンショップのポータルサイトには、契約可能な物件情報のみ掲載されるようになる。
開発したターミナルの中道康徳代表は、かつて大手ポータルサイトの社員だった時に、増え続けるおとり広告に苦慮していたという。その経験から同社を設立した。中道代表は「不動産ポータルサイトの利用者からすれば、検索結果に表示されたものだけを信じ、それが最新の情報だと思っている。利用者と不動産会社がおとり広告に割かれる時間のロスを有効に使い、不動産のプロフェッショナルとしての力を磨く時間にして欲しい」と話していた。
おとり広告を無くすために
trueperに限らず、インターネット上にある不当なおとり広告を排除するため、もっと広げていかなければならない。ターミナルは大手不動産ポータルサイトや不動産FCネットワークに導入を呼び掛けている。不動産の最新テクノロジーが悪しき伝統を断ち切れるか注目が集まっている。