ホテル業界向けの展示会「レジャー&サービス産業展2017」(主催:綜合ユニコム)が開催されている。外国人観光客の増加、いわゆるインバウンド需要に沸くホテル業界では、他業種からの新規参入も相次いでおり、宿泊形態も多様化している。(リビンマガジン編集部)


(画像=リビンマガジン編集部撮影)

会場ではカプセルホテルに関する出展が目立った。なかでも異色だったのは、インターネットカフェの自遊空間を運営するランシステム(東京都豊島区)だ。昨年10月に、カプセルホテル第一号店を京都に出店し、宿泊業に参入した。

手がける「コミカプ」は、漫画喫茶のノウハウを活かしたカプセルホテルだ。3万冊以上のコミックを揃え、床面積に対して床数を少なくし、カフェのような共有スペースを広く設けている。秘密基地をコンセプトに据え、寝るだけの空間から脱することを狙っている。

京都店に続いて、札幌にも出店しているが、利用者の約60%が外国人だ。女性客の比率も約40%で推移しているといい、新しい顧客の開拓に成功している。今後、東京を中心に50施設の展開を目指すといいう。


(画像=リビンマガジンBiz編集部撮影)

ホテル出店コンサルティングのNSPドクター(東京都台東区)では、高級マットレスのエアウィーヴを備え付けたカプセルを展示。睡眠に付加価値を見いだしている。

NSPドクターの曽我部代表取締役会長は、競争が激化するホテル業界に危機感もあらわだ。

「今までのカプセルホテルとは別物になっている。内装、施設も豪華になり、宿泊価格も上がってきた。個性を出さないと生き残っていけなくなっている」


(画像=リビンマガジンBiz編集部撮影)

このようにカプセルホテルは高級化と多様化が進んでいる。狙うのは、ビジネスホテルを利用していた顧客層だ。さらには、民泊という思わぬ伏兵も現れた。

迎え撃つ業界の王者は、どう考えているのか。

全国に282ホテル(FC含む)を展開するアパホテル(東京都港区)の元谷拓代表取締役専務に話を聞いたが、カプセルホテルや民泊を脅威であると考えてはいないという。

「カプセルホテルはリピートして使う施設ではないと思っています。対して当社は1300万人の会員様がいて、全国に282ホテルあります。会員様の多くは、知らないホテルより泊まったことのあるホテルを選んでもらえます」

まだまだ巨大ホテルチェーンを脅かす状況ではないという認識だ。

展示会では、ホテル備品やホテル専門の設計事務所などが出展するほか、民泊関連のセミナーも行われていた。

主催した綜合ユニコム(東京都中央区)はホテル業界について「2020年で一度ピークを迎えると思うが、そこから急激に外国人観光客が落ち込むことはないと考えます。今後は、ターゲット・客層を絞ったホテル経営ができるかが肝心です」という。

拡大傾向にあるホテル業界の縮図のような展示会であった。

王者がどっしりと構え、追いつき追い越せと言わんばかりに各ホテルが趣向を凝らした事業展開を行っていた。

この展示会は20日まで開催されている。

 
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