総合住宅メーカーのミサワホームは9月1日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の「宇宙探査イノベーションハブ」(愛称はTansaX・タンサックス)が実施した「第3回研究提案募集」に応募し、同社の提案が採択されたと発表した。
※プレスリリースより
JAXAの募集概要は、「『太陽系フロンティア開拓による人類の生存圏・活動領域拡大に向けたオープンイノベーションハブ』に関する研究提案」で、A.課題解決型、(3)Ⅱ.自動自律型拠点構造物の建築・拡張・維持の省力化、に同社は応募した。
今回、採択された同社提案の研究名称は「持続可能な新たな住宅システムの構築」で、研究要旨は「建築を省力化する工法技術」と「自立循環システム」の開発による持続可能な新たな住宅システム構築、というもの。
この募集は、課題解決型とアイデア型の2種類の研究提案を募るもので、応募された提案はJAXA・JST(科学技術振興機構)で審査(外部有識者、技術専門家含む)を行い、採択されるとJAXAと提案者の役割や費用分担を調整したうえで、共同研究、委託研究、またJAXAへの出向(クロスアポイントメント制度含む)などの形で研究が行われる。
同社が採択されたのは課題解決型で、これは目指す技術が明確で、研究期間が3年以内、予算は総額3億円以内というもの。
そもそも「宇宙探査イノベーションハブ」は、地上の優れた技術とこれまでJAXAが培ってきた宇宙探査技術の融合により、新たな技術の開発に取り組む組織のことで、地上・宇宙での技術を双方に応用し、宇宙開発だけでなく、日本の産業振興と新たな産業創出につなげることを活動の目的としている。
今回の募集では、課題の1つとして「拠点構造物の建築・拡張・維持の省力化」を挙げた。
宇宙探査活動の本格化に伴い、今後、宇宙の有人拠点は最低限の構造物から拡張し、複数の構造物が配置されることが予想される。
ただし、これらの作業人数や建設期間は限られるうえ、専門外の作業者による建築となるため運搬性が良く、施工が簡単で、長期にわたる維持管理も容易である必要がある。
こうした理由から、JAXAでは将来的な宇宙探査への応用を目的としつつ、まずは地上での事業化において実現性のある提案を求めていたという。
同社は、約50年にわたり「南極昭和基地」において観測隊員の活動や生活を支える建物の部材製作を受注している。高度に工業化された同社の建物は、建築経験のない隊員でも短期間で施工でき、南極のような過酷な自然環境にも耐える性能を有している。
そこで、同社ではこの工業化技術をさらに発展させることで、宇宙の拠点開発へも貢献できると考えた。また、宇宙空間で生活を維持するためには、省・創エネルギー技術や、エネルギー利用の最適化が必須であり、同社の長年にわたる省エネルギー住宅の研究開発の知見も生かすことができるという。
こうした考えのもと、「建築を省力化する工法技術」と「自律循環システム」の2項目について提案し、採択に至ったという。
同社では、これまで住宅業界のパイオニアとして、未来を見据えた技術開発・夢のある住まいづくりに取り組んできました。今回の研究・開発においても、これまで培ってきたノウハウを最大限に生かし、果敢に挑戦し、日本の宇宙開発の発展に貢献していきます、としている。