大和ハウス工業は8月31日、東北地域を中心に中小規模の再生可能エネルギー事業を専門に取り扱うベンチャー企業のサステナジーと、リース・レンタルを中心とした総合ファイナンス会社の日立キャピタルなどと組み、宮城県の耕作放棄地など2カ所を活用した太陽光発電とキクラゲ栽培を同時に行うソーラーシェアリング事業に参画すると発表した。今年9月末に発電を開始し、全量を東北電力へ売電する予定という。
キクラゲ栽培が行われるのは、登米市の「登米善王寺太陽光発電所(発電容量2MW)」と加美郡の「加美八幡堂太陽光発電所(同2MW)」の2カ所。
(左)「登米善王寺太陽光発電所」
(右)「加美八幡堂太陽光発電所」 ※プレスリリースより
これは、農地の有効活用と再生可能エネルギーの普及を目的としたもので、営農継続を条件に耕作放棄地などを一時転用し、営農を継続しながら上部の空間に太陽光発電システムを設置するというもの。耕作放棄地の有効活用や新たな雇用創出などによる地域の活性化が見込める事業モデルとして、ソーラーシェアリングはさらなる普及が期待されているという。
同社は設計・調達・建設および保守を担当し、日立キャピタルが太陽光発電設備のプロジェクトファイナンス型リースを提供する。
今年6月から太陽光発電パネル下部の農地を借り、キクラゲの栽培を開始した。
通常のソーラーシェアリングは、日射を必要とする作物を生産するために小型の太陽光パネルを採用して下部農地にも太陽光を採り入れるのが一般的だが、今回は太陽光発電システムを建設することでできる影を利用し、日射が不要のキクラゲを栽培作物として選定したという。仮に、太陽光発電パネルすべての面積を使用して栽培すると年間約4万キログラムの収穫量になるという。
(左)「登米善王寺太陽光発電所」でのキクラゲ菌床栽培の様子
(右)「加美八幡堂太陽光発電所」でのキクラゲ菌床栽培の様子
(ソーラーシェアリングでのキクラゲ栽培) ※プレスリリースより
キクラゲは国内流通品の9割以上が中国からの輸入に依存しており、希少価値の高い国産品はニーズが高く、今後の販路拡大が見込める農産物。営農については、今年6月から宮城県の農業生産者、アグリ古川農産とスワンドリームが地元の人を新たに雇用し栽培を開始しているという。
サステナジーでは、今後も今回のソーラーシェアリング事業のような耕作放棄地の有効活用、地元雇用の創出といった、地域に貢献できるエネルギー事業の実施を通じて、社会の変革に取り組んでいきます、としている。