不動産管理・運営、不動産投資事業などを手掛けるケネディクスは8月10日、シンクタンク最大手の野村総合研究所(NRI)との間で不動産を対象とした投資型クラウドファンディング事業での協業に向けた基本事項について合意したと発表した。
同社では、不動産を対象とした投資型クラウドファンディング事業を推進するため、6月26日に新会社「ビットリアルティ」を設立した。新会社は、不動産およびインフラ資産に係る投資型クラウドファンディング・プラットフォームの運営などを行う。
新会社に対する2社の出資総額は4億9500円で、出資比率は同社が80.1%、NRIが19.9%の予定。
両社合意の背景には、金融と情報技術が融合した「フィンテック」に続き、不動産と情報技術が融合した「不動産テック」が世界的にも立ち上がりつつあることが大きい。
不動産投資市場では、新たな資金の流れを創出する不動産クラウドファンディングに注目が集まっている。そのようななか、新会社設立により専門家による目利きをもとに、従来は機関投資家に限られていた不動産への投資の機会を様々な投資家に提供する仕組みを今回創出するという。
さらに、地方創生や都市再生に貢献する可能性を秘めた不動産と、なにかを応援したいという志のある投資家の資金をマッチングする仕組みを創出することで、個人金融資産の有効活用が進み、不動産市場の活性化につながることを期待しているという。
具体的には、新会社では不動産の投資型クラウドファンディング事業を推進し、インターネットを通じた不動産への幅広い投資機会を様々な投資家に提供する。
従来、個人にとって不動産への投資の機会はJ-REITやマンション投資などに限られていたが、今回、個人でも小口化された不動産金融商品にインターネットを通じて投資できる仕組みを提供する。これにより、投資家は賃料収入などのキャッシュフローを享受することができるという。
同社は、不動産クラウドファンディング事業における不動産金融商品の開発および投資対象の調達のサポートや不動産にかかわる資産運用業務をおこない、NRIはこれらの事業を支えるITサービスを提供する。
両社では、今後この仕組みに、他の不動産資産運用会社や不動産デベロッパー会社などが参画し、業界標準となることを目指します。また将来は、当事業に、人工知能やビッグデータ分析、ブロックチェーン等を応用し、投資アドバイスをおこなうロボットアドバイザー(ロボアド)などの、不動産テック事業における新たなサービスの提供をおこなう予定です、としている。