大和ハウスグループで全国25万戸超の分譲マンション管理を中心に、オフィスビル・商業施設・ホテルなどの建物管理サービスを提供する大和ライフネクストは8月1日、現在利用中の社内の事例・知識共有サイトと米IBM社が開発した質問応答システム「Watson(ワトソン)」日本語版を活用したシステムの本格運用を今年6月から開始したと発表した。
マンション管理業界としては初となるAI(人工知能)の本格運用事例になるという。
今回のWatsonとの連携は、同社が従来から取り組んできた多くの事例、知識の蓄積と共有をさらに加速させることになり、お客が抱える課題に応じたより適切な提案につながるものになるという。
それと同時に、各担当者がより精度の高い情報をすぐに取り出せる状態を確立することで、より効率的に生産性の高い働き方の実現を目指すためとしている。
同社が現在利用する社内の事例・知識共有サイト「ガリレオ」は、不動産関連企業のITコンサルティング、システム構築、運用保守サポートなどを手掛けるCBIT(シービット)が提供する社内情報共有サービス「ナレッジリング」のカスタマイズ版のことだ。
この「ナレッジリング」は、社内の情報共有を目的としたデバイスフリーのナレッジ共有サービス。
機能構成はシンプルだが、ナレッジリング上で作成された記事はもとより、登録されたOfficeファイルやPDFなどの文書も同時検索できる点が特長といえる。
従来のキーワードによるデータベース検索では、大量の記事が表示され何度も検索を繰り返すことがあった。
しかし、WatsonのAPI(Application Programming Interfaceの略で、ソフトウェアの機能を共有すること)であるNLC(Natural Language Classifierの略で、自然言語分類)をチャットボット形式でナレッジリングと連携させることで、より対話的な操作でWatsonが質問者の意図を解釈し、回答候補を10件程度に絞り込み、適切な情報を容易に見つけ出すことができるようになったという。
CBITは同社向けサービスとして、NLCが返す質問に対する回答の確信度と、利用者が閲覧した記事や文書の検索ログの解析結果を定期的にレポーティングするサービスも提供しており、NLCの学習データの精度向上に役立つスキームを構築することで、ナレッジリングを利用するほどWatsonが成長していくという。
同社では、今後も、様々な新技術・異業種ノウハウとの連携を積極的に推進し、当社の経営ビジョンに掲げる「人・街・暮らしを元気にする」様々なサービスを生み出し、ご提供することを目指します、としている。