スーパーゼネコンの鹿島建設は6月30日、人が室内空間全体から感じる明るさの印象(明るさ感)を評価する新手法を開発したと発表した。
これは、対象となる視野内の輝度の平均を算出後、視野を大きく二分するような明暗の差がある部分(粗い輝度の対比)や、視野内に明暗のメリハリをつくる部分(細かい輝度の対比)を抽出して数値化する。この2つの値を使って先に求めた輝度の平均を補正することで、より人の感覚に近い明るさを評価するというもの。
※プレスリリースより
新手法を適用することで、人の感覚により近い明るさ感の評価と、室内空間の明暗を制御するきめ細かな光環境デザインが可能になるという。
この明るさ感は、照明設備の性能だけで決まるものではなく、窓まわりやインテリアデザインなど、様々な要因に影響されるという。
新手法を適用した室内空間の光環境デザインでは、これらの要因をトータルでデザインして定量的かつ視覚的に示すことで、「もう少し明るくしたい」「もう少し落ち着いた雰囲気にしたい」などの多様なニーズに対し、きめ細かな対応が可能になるという。
これまで室内の明るさは机上や床上の照度(ルクス)で主に評価してきた。
例えば、照明の消費電力を抑えるために部屋全体の照明を低く抑え、机上の明るさをデスクライトで補う照明方式を採用した場合、机上照度は確保できても部屋全体が薄暗く感じるなどの課題があった。
※プレスリリースより
近年、明るさ感に着目した光環境の評価手法が広く用いられるようになり、こうした問題は改善されつつあるが、従来の手法では室内空間から目に入ってくる光の量(視野内の輝度)の平均から明るさ感を求めるため、評価結果と実際の明るさ感にズレが生じていたという。
そうしたなか、同社では明るさ感が視野内の輝度の平均だけで決まるのではなく、視野内の輝度の「対比」の影響を受けることに着目、被験者実験によりその影響度合いを明らかにすることで、より人の感覚に近い明るさ感評価の新手法を今回開発した。
今後の展開として、同社では、明るさ感評価の新手法のさらなる精度向上を図りながら、様々な用途の建物における新築・改修時の光環境デザインに積極的に活用することで、快適で高品質な光環境を提供してまいります、としている。