住友商事は6月19日、中国の大手不動産ディベロッパー「朗詩集団股份有限公司(朗詩集団)」との間で不動産事業に関する「戦略合作意向書(MOU)」を締結したと発表した。
このMOUに基づく戦略的パートナーシップの第1号案件として、中国浙江省杭州市における住宅開発事業の「杭州臨平」プロジェクトへの出資を完了したと併せて発表した。
杭州周辺地図 ※プレスリリースより
浙江省の省都、杭州市は同省の政治・経済の中心地になっている。
上海市から高速鉄道で1時間弱の距離に位置する。
華東地域の重要拠点として多くの日系企業が進出しているほか、ハイテク産業やソフトウェア産業を中心に経済発展が続き、市民の購買力の伸長が目覚ましいエリアだ。
また、中国国内屈指の観光地としても有名で、国内外から多くの観光客が訪れている。
今回のプロジェクトは、その杭州市中心部から北東へ約20キロメートル離れた「余杭経済技術開発区(余杭開発区)」内に位置する建物面積約1万1000坪、総戸数約800戸、商業店舗約20区画の案件となる。
竣工は2019年4月を予定している。
この余杭開発区は浙江省唯一のバイオ医薬産業モデル地区であり、多くの有力企業が進出している。
今回のプロジェクトでは、余杭開発区勤務者をメインターゲットとし、他物件との差別化を図った高品位の住宅を供給する計画。
また周辺には、臨平地区北部と杭州市中心部を結ぶ地下鉄9号線の新設計画があり、今後さらなる住宅需要の拡大が見込めるエリアとして注目されている。
今回、同社の現地子会社を通じてMOUを締結した朗詩集団は、上海市・蘇州市・杭州市・南京市・武漢市・成都市・天津市・保定市等の中国の大都市を中心に80案件以上の不動産開発実績がある。
中国人消費者の環境・健康意識の高まりにいち早く注目し、商品開発を進めてきた朗詩集団が分譲する住宅には、空気清浄・温湿度を集中管理する独自の設備が導入されており、中国における環境・健康配慮型住宅開発の先駆者として消費者から信頼を得ているという。
今回の締結は、同社が日本国内で展開するマンションブランド「CLASSY HOUSE(クラッシィハウス)」で培ったノウハウが朗詩集団に評価されたことが大きい。また両社間には、ものづくりに対するこだわりや中国国内でのエリア戦略に共通性があったことも締結に至った要因といえる。
今回の共同プロジェクトにおいて、同社の住宅開発技術や現場施工管理方式を導入することを通じて、事業のバリューアップを図るとともに、朗詩集団とのパートナーシップ強化に努めていくとしている。
また同社では、上海市・蘇州市で住宅開発事業の実績があり、今後も住宅政策やマーケット動向を慎重に見極めながら、中国の消費者の皆様の住環境向上に寄与すべく、中国での不動産事業をさらに強化・拡大していきたい、としている。