戸建て住宅大手の三井ホームはこのほど、同社九州支店熊本営業所で受注したツーバイフォー工法(枠組壁工法)による注文住宅の構造材に、熊本県の杉材の使用を開始したと発表した。

熊本県産 JAS規格材    ※プレスリリースより

 

 同社では、主にツーバイフォー工法の壁部分を構成する縦枠材(間柱でスタッドとよばれる)として採用する。使用する杉材は40坪の2階建の住宅で平均約5㎥。また、今年のゴールデンウィークにオープンした「KTT熊本モデルハウス」(熊本市南区)においても、内装材に「ブランド杉として評価の高い小国杉」を採用したという。

 従来、同社が採用しているツーバイフォー工法では壁パネルの骨組みを構成する「構造用製材」はカナダなどの輸入材がそのほとんどを占めていた。しかし、2015年の国産杉材の「ツーバイフォー工法構造用製材JAS規格」の改正や同工法用JAS製材工場が整備された。これにより基準強度が新たに制定され、物流拠点が増えた。環境が整備されてきたことで構造用製材として国産材の利用がしやすくなった。

熊本県産材を使用した上棟現場  ※プレスリリースより

 また国としての国産材使用の機運が高まったことと同時に、熊本県では「熊本県公共施設・公共工事木材利用推進基本方針」を策定し、県内の市町村でも県産木材利用の促進に関する方針が定められ、県産材の利用拡大を図ってきたことも大きい。

 

 熊本県が発行した「くまもと県産材による木造建築物普及の手引き」では、県産材を使用するメリットが紹介されている。

 県産材を使用することで、その後に植林・間伐などの森林の手入れにつながり、水源涵養機能(洪水のリスクを緩和させ川の流量を安定させる機能)や土砂流出防止機能などの森林本来の機能が向上する。
 木材が建物に使用されることにより長い間、二酸化炭素を貯蔵することが可能となり地球温暖化防止にも寄与する。
 地域材を使用することで、地域内で多くの仕事が創出され経済効果も期待できる。

 同社としては、今後、お客様へ県産材使用メリットを訴求して、その使用拡大を進めてまいりたいと思います。当社は木のもつ高い構造強度と柔軟性の高い空間創造により、地球環境と高齢者や子どもにやさしい住宅の普及に努めてまいります、としている。

 
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