森トラストは6月13日、静岡県熱海市の「山種寮」を同日付で取得したと発表した。
同物件の取得は、森トラストグループが推進する「老舗旅館等再生事業」の一環で、今後は温泉や庭園を活用しつつ、由緒ある別荘地としての土地の歴史を活かし、エリア初となる外資系ラグジュアリーホテルの開業を目指して開発計画を進めていく、としている。
※プレスリリースより
そもそも今回取得した物件は、山種証券(現・SMBCフレンド証券)創立者で日本初の日本画専門美術館「山種美術館」の創設者でもある山崎種二氏の別邸として1936(昭和11)年に造られた。
敷地は約8400㎡で、当時の姿を残す築80年以上の木造建築や四季の移ろいを告げる和風庭園、湯量豊富な自家源泉を備えている。
同物件が建つ熱海市は日本三大温泉の1つであり、明治時代から多くの政財界・文化人などに親しまれる湯治場、別荘地として栄えてきた。
東京から新幹線で約40分という交通アクセスの良さなどから、宿泊者数が過去5年で約20%増加するなど、近年、「東京の奥座敷」として人気があるエリアだ。
同物件は、熱海駅の隣駅、JR来宮(きのみや)駅からほど近く、約1300年の歴史を誇る「来宮神社」が佇む閑静なエリアにある。遠方に熱海湾や初島、さらに年間を通して開催される熱海海上花火大会を臨む高台に立地している。
こうした日本固有の魅力を備えた地が全国各所に多く点在している。
※プレスリリースより
同グループでは、その魅力の再発見と、その土地における歴史的資源のリ・デザイン(再設計)による新たな魅力創出を通して、世界に誇れる日本の新たなディスティネーション(行き先・目的地)の創造を目指していく、としている。
これまでに「老舗旅館等再生事業」として、京都・嵐山で歴史的 建物と庭園を再構築した「翠嵐 ラグジュアリーコレクションホテル 京都」を手掛けている。
現在も箱根・強羅エリアにおいて、老舗旅館「強羅環翠楼」の建物や庭園を活かしながら、高級宿泊施設への再生を検討するなど複数の開発案件を抱えている。
同グループの事業戦略は、政府の成長戦略「未来投資戦略 2017」に資するものといえる。
6月9日に公表された「未来投資戦略2017」には、地域経済の好循環システムを構築するために、特定の地域に集中している国内外の旅行者を全国各地に分散・拡大させる施策が盛り込まれている。
特に、同グループでは欧米豪からの旅行者や、富裕層などをターゲットに据え、歴史的資源や文化財等の改修・活用による観光まちづくりを推進するなど、観光を地方創生や国際競争力の向上に積極的に活かすことを目指している、という。
同グループでは、ポテンシャルの高い日本各地の歴史・文化資源にふさわしい、 世界の富裕層が求めるラグジュアリーホテルの開発を進め、わが国の「ラグジュアリーディスティネーション」を確立し、その各々が連携することを通じて、本成長戦略の実現に貢献してまいります、としている。