新日鉄興和不動産は1日に「マンション建替総合研究所」を設立した。
併せて、東京大学との連携による「超高齢社会に対応したマンション建替問題研究会」も発足したと12日、発表した。
同研究所は弁護士、不動産鑑定士、司法書士などの各分野の外部専門家と提携し、建替え検討初期から建替え実現に至るまでの工程をワンストップで対応できる体制を整備するもの。
また同研究会は東京大学高齢社会総合研究機構と連携し、「高齢社会」をキーワードに、高経年マンションにおける区分所有者の高齢化に伴う諸課題や住宅のあり方などについて研究する。
その成果を実際の建替え問題の解決に反映させていくことを目的として発足した。
現在、「高経年マンションの建替え」が問題になっている。
国土交通省の資料によれば2014年末時点で全国の分譲ストックマンションは役613万戸で築30年以上のマンションは151万戸と推計されている。
同社リリースでも、分譲マンションのストック数は約623万戸(2015年末現在)という数字があがっている。
そのうち築40年以上の分譲マンション(団地を含む)は約63万戸、5年後に約118万戸に上るという。
この約63万戸のうち、建替えが完了しているのは約1万8千戸(物件数:227件)で、わずか2.8%という数字。
建替えが進まない要因として、用途地域や高さ制限等による「物理的要因」、
還元条件が悪く住戸取得のための費用増加や引っ越し・仮住まいの費用負担等による「経済的要因」、
敷地や借家人問題等、主に権利関係による「法的要因」、区分所有者の人間関係やコミュニティの消滅などに対する不安等による「精神的要因」を挙げている。
同社では1986年からマンション建替え事業に取り組み、これまでに17件(竣工済み及び解体・着工済み物件)の建替えを行っている。
同研究所の新設により、遅々として進まない建替えの進捗を後押しするとともに、
より一層、管理組合及び区分所有者の皆さまと密に向き合いながらマンション建替え事業を推進していきたいとしている。
今後、同研究所では、各種調査・事例研究等の成果についてレポートによる発信などを行うとともに、
同社が主催する管理組合および区分所有者向けのセミナーや勉強会においても公表するなど、
社会的課題として重要度の増しているマンション建替えの諸問題の解決に資する活動を積極的に進めていくという。
※プレスリリースより