Facilo(東京都港区)は11日、売主向けの新サービス「Facilo物件売却クラウド」の提供を開始したことを発表した。同社は昨年2月から買主向けサービス「Facilo物件購入クラウド」を展開し、大手30社中20社以上に導入実績を持つ。今回のリリースにより、売買取引の全関係者が利用可能なプラットフォームの構築を目指す。

画像=プレスリリース

新サービスは、不動産売却における2つの課題解決に焦点を当てている。1つ目は、オンライン査定の普及に伴い増加している「査定後に媒介契約に至らないケース」への対応だ。売主が物件売却を決断するために必要な情報提供の仕組みが確立されていないことが背景にある。2つ目は、媒介契約後の顧客体験の向上だ。従来は売主と仲介会社間のコミュニケーションが電話やメールに依存し、販売進捗の確認には定期的な報告書の送付を待つ必要があった。

同サービスの特徴的な機能として、競合物件レポートがある。これは周辺の売り出し状況をグラフやマップで可視化するもので、手作業による集計作業を必要とせず、マーケット情報をリアルタイムで更新できる。売主は競合物件の価格動向を随時把握し、価格調整の判断材料として活用できる。

また、AIとクラウド技術を組み合わせた営業活動報告書の自動生成機能も搭載。従来は営業担当者が手作業で作成していた報告書を、ワンクリックで生成できる。リマインド機能により報告漏れを防止し、売主はマイページ上で過去の報告書を一元管理できる。

内見予約に関しても、クラウド上でスケジュール共有・管理が可能になった。内見申し込みがあった際、営業担当者は売主のスケジュールをクラウド上で直接確認できるため、従来のような電話やメールでの都度確認が不要となる。

反響状況については、媒体別の反響数推移を自動的にグラフ化。販売促進活動の情報も併せて表示されるため、売主は定期報告を待たずに集客状況や営業活動の進捗を確認できる。さらに、売主向け簡易CRMにより、検討中の買主候補の状況も一目で把握可能だ。

同社は2024年2月にシリーズAで12億円を調達しており、不動産取引におけるデジタル化を加速させている。今後も売主体験の向上を目指し、新機能の開発を継続する方針だ。

 
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