郵便料金値上げを機に、不動産業界で電子契約への移行が加速へ
いえらぶGROUP(東京都新宿区)が実施した「郵便料金の値上げに関する調査」の結果が公表された。不動産会社388社とエンドユーザー902名を対象としたもので、10月1日の郵便料金値上げが不動産業界のデジタル化を促進する可能性が示されている。
調査によると、不動産会社の84.0%が値上げによる負担を感じており、特に「とても負担に感じる」と回答した企業は42.8%に上った。一方、エンドユーザーでは「とても負担に感じる」との回答は28.4%にとどまり、業務での郵便利用頻度の違いによる負担感の差が明らかになった。
注目すべき点は、不動産会社の70.1%が郵便料金値上げを契機に電子契約の導入に前向きな姿勢を示していることだ。現状では43.8%の不動産会社が電子契約を「利用したことがない」と回答しており、特に売買仲介業では未使用率が65.9%と高い水準にある。
一方、エンドユーザー側の調査では、郵便料金値上げへの対応として36.7%が「(郵便利用の)利用頻度が減る」と回答。また、約6割のユーザーが代替手段としてメールやメッセージアプリ、電子決済サービスなどのオンラインサービスを利用すると回答。ただし、不動産取引における電子契約の利用経験は依然として低く、87.0%のエンドユーザーが「利用したことがない」と回答している。
デジタル化による郵便物減少や運営コスト増加を背景とした今回の値上げが、業界のデジタル化を後押しする形となっているようだ。