TSMC進出で新工場周辺の新築賃料が1.7倍に。LIFULL、熊本県内の賃貸市場を調査
LIFULL(東京都千代田区)が運営する情報サイト「LIFULL HOME’S PRESS」は、半導体世界最大手メーカーの台湾積体電路製造(以下、TSMC)が進出するに伴っての熊本県内の賃貸市場への影響について、調査を実施した。
TSMCは、2022年4月に熊本県菊陽町にて工場の建設を着工、竣工は2023年9月で、操業開始は2024年12月を予定している。これにより、大規模な雇用のほか、建設関係者やTSMCの駐在員、関連企業従業員による居住需要の高まりが見込まれている。
20232年9月に発表された基準地価では、熊本県大津町の商業地の上昇率が32.4%と宣告首位だった。
同調査では、工場建設が発表された2021年から現在までの期間でポータルサイト「LIFULL」での掲載物件数や募集賃料を集計している。
物件の掲載数の推移では、工場進出が発表された2021年10月時点の新工場周辺(菊陽町・大津町・合志市)の賃貸物件掲載数は517件。上場の着工が開始した2022年4月までに掲載数は209件で59.6%減となり、その後も2023年2月の29件(進出発表時比94.4%減)を底に低水準で推移している。熊本県全域の賃貸物件掲載数を同期間集計してみると2021年10月に5,496件、2022年4月は7,268件、2023年8月は7,936件と増加していることから、新工場一帯の賃貸需要が高まっていることがわかる。
また、新工場周辺では、アパートやマンションの建設が進んでおり、新築物件の供給数が増加しつつ、その募集賃料も上昇している。
2023年第3四半期(7~9月)にLIFULL HOME’Sに掲載された、新工場周辺の新築賃貸物件の平均賃料は10.36万円。工場進出が発表された当時(2021年第4四半期)の賃料が5.99万円だったことから、72.9%上昇し約1.7倍の賃料になっていることがわかる。単身向け物件の供給から、ファミリー向け物件の供給へとシフトしている影響もあるようだ。
また、新築物件だけでなく既築物件に関しても影響が現れ始めており、2023年第3四半期の全部県の平均賃料は7.43万円で、工場進出が発表された2021年第4四半期の5.40万円から37.5%上昇し、約1.4倍の賃料になっていた。