人気の観光地、尾道も空き家が目立つように
尾道は広島県にある、瀬戸内海に面した街です。ラーメンなどでもおなじみですね。歴史と自然に囲まれた街で、山のふもとにお寺と民家が混在し、迷路のように入り組んでいます。その町並みは、まるで映画の世界に街に迷い込んでしまったかのように錯覚してしまいます。
このように歴史的な魅力を持ち、観光地として人気があるのですが、やはり山のふもとゆえに傾斜もそこそこあり、住むというのは不便だったのでしょう。年々空き家の数も目立つようになってきました。特に傾斜が多いため家具の持ち運びが非常に不便で、住んでいた当時の家具がそのままという空き家も多かったのです。
「NPO法人尾道空き家再生プロジェクト」
しかし、そんな尾道の危機を救うべく発足されたのが「NPO法人 尾道空き家再生プロジェクト」です。2007年に発足し、尾道の歴史的な景観を残しつつ、空き家を地域活性のために使えないかと模索しています。
この「尾道空き家再生プロジェクト」では、空き家の改修から入居者とのマッチングまで、幅広く手掛けているのが特徴です。自身たちで空き家の調査・改修、および有効活用のためのプランニングを行っている団体は他にもありますが、入居者への対応まで手厚く行っているというのは珍しいのではないでしょうか。
もともと尾道市が行っていた「尾道市空き家バンク」というのもがあったのですが、それを事業受託し、自身たちで空き家の管理もしつつ、空き家に興味を持ってくれた方への情報提供、そして入居後のサポートまで行っているのです。
空き家問題と伝統の保護を同時に行う
また、尾道にある住宅の建築的な魅力を伝えているというのもこの団体ならではの活動です。やはり尾道の空き家の魅力といえば、その外観はもちろんのこと、さらに当時の建築様式がそのまま残っている点です。もちろん古い建物を新しくし、住みやすくすることも大事なのですが、このプロジェクトでは当時の建築様式まで保護しながら改修を行っているのです。
さらに「尾道建築塾」といって、専門家と共に空き家を散策しながらその建築様式に実際に触れられたり、実際の改修作業の体験ができるような取り組みも行っています。いわば空き家問題を解決しつつも、伝統的な建築様式の保護も同時に行っているということですね。尾道の住宅の魅力を余すことなく伝えてくれています。