空き家問題に取り組んでいる市町村は多いですが、その中でも地元の大学と協力してこの問題の解決を図っている地域もあります。群馬県にある高崎経済大学もそのうちの1つです。いったいどんな取り組みを行っているのでしょうか。


空き家問題へ取り組んでいる高崎経済大学

高崎経済大学は、群馬県高崎市にある公立大学です。地元では名門大学として知られている、地元に根付いた大学ですね。そしてこの高崎経済大学では、大学の近くにある空き家を改装して、地元住民と学生の触れ合いの場にする「0号館プロジェクト」というものが行われています。

高崎経済大学では最寄り駅から大学のキャンパスまで徒歩1時間ほどかかり、さらに大学から駅までの間に、カフェスペースのようなゆったりとくつろぐことができる空間はありませんでした。多くの学生は最寄り駅とキャンパスを行き来するだけという状況。このままでは交流関係が大学内だけで完結してしまいます。そこで高崎経済大学の3年生だったとある学生さんが、大学周辺の空き家に目をつけました。空き家を改修してコミュニティスペースを作ることができれば、多くの学生と地元住民の方が触れ合うことができるのではないかと。

0号館プロジェクト始動

こうして2014年の春、この「0号館プロジェクト」がスタートしました。当初は誰も相手にしてくれなかったそうですが、ある日大学のすぐそばにある空き家の所有者に声をかけたところ、話を聞いてもらうことになります。

その空き家は築100年ほどで、所有者の方は元英語講師。すでに定年退職をされていて、この空き家も持て余していた状態でした。そして家主さんがこのプロジェクトに了承してくれると、そこからはトントン拍子で話が進んでいきました。そしてその中でこの空き家を「0号館」と名付けます。もともと高崎経済大学には1号館~7号館まであるそうなのですが、その駅から1号館までの中間のような存在、授業が始まるまでに寄り道できるような存在になってほしいとのことで0号館になったそうです。こうして何とか空き家を見つけることができたのですが、さらに高崎市では2013年から空き家の改修費用を助成する制度が始まっており、タイミングよく資金面でのサポートも受けることができるようになったというのも大きいですね。この制度の上限は500万円で、予算の600万円には少し足りていませんでしたが、その分は0号館プロジェクトの代表者がプレゼンを行い、企業からの投資やクラウドファンディング(ネット上の募金)などで賄っていました。

この取り組みは他の地域のヒントになる!?

そこからは順調に改修作業も行われ、無事に2015年の6月に0号館がオープン。指導から約1年ほどでした。完成後はフリースペースとして開放され、時にはクラブやサークルなど普段の大学生活の延長の場に、時には地域住民との交流イベントを行う場になっているそうです。

このように高崎市では地元の大学生と協力しながら空き家問題に取り組んでいます。熱意を示せばそれに応えてくれる人がいるあたり、高崎経済大学と地元住民とのつながりの良さがうかがえますね。そしてこの「0号館プロジェクト」の成功は、今後他の地方の空き家問題を解決するための大きなヒントとなることでしょう。

 
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