不動産投資の歴史上、最悪の出来事といえば「バブル崩壊」ですよね。多くの投資家たちが借金まみれになってしまったこのバブルの崩壊、いったいなぜバブルが起き、なぜ崩壊したのでしょうか。そしてこのバブルは現代でも起きうることなのでしょうか。


バブルのきっかけとなったのは85年「プラザ合意」

バブルが起きた最大の理由、それは「円高」です。85年、バブルのきっかけとなる「プラザ合意」が締結されます。当時は1ドル250円前後。固定相場制で1ドル=360円だった時代に比べればずいぶんと変動しましたが、それでもまだドルの価値が高いという状況です。

特に70年代は日本の経済成長も非常に目覚ましく、たくさんの製品が輸出されるようになりました。円の価値が安くドルの価値が高い、いわゆる「円安ドル高」の状態が続いてしまうと、日本からの輸出が多くなります。しかし、そうなるとダメージを受けてしまうのがアメリカなど海外の企業です。日本から輸出される安くて優秀な製品に市場を奪われ、自分たちの製品が売れなくなってしまいますから。

そこで世界各国の財務担当ら(日本でいえば、当時の大蔵大臣だった竹下登)が集まって会談を行い、各国で保有しているドルを売り、ドルの価値を無理やりにでも下げるという政策を行うことに合意します。そうすればドル安の状態になり、アメリカの製品は安く売ることができるようになります。アメリカの経済に影響が出ると世界中の国にもその影響がでてしまいますから、まずはアメリカの経済状況を回復させることが最優先だったのです。

金利引き下げが不動産投資ブームの引き金に

しかし日本の企業にとってこの政策はありがたみがありません。なにせ輸出が落ち込んでしまうのですから、不況に陥ってしまいます。そこで日本銀行は金利を引き下げ、お金を借りやすくして経済を活発にするような政策を取りました。

そして、お金を借りやすくなってしまったがゆえに不動産投資の増加が起きました。土地を買い、それを資産として保有しておき、土地の値段が上がったころに売りはらい、儲けを出す。当時は「土地神話」というものがあり、土地の値段は上がり続けるだろうといわれていました。そのため、土地へ投資すればリスクなしで儲けを出すことができると考えられていたのです。

それに土地は銀行からお金を借りる有力な担保にもなりました。銀行としても、もし返済ができなくなってしまったとしても、担保の土地が回収できれば損することはないだろうと。それだけ土地は値上がりするものという固定観念が強く根付いていたのです。普通1億円の土地を担保にするのであれば、銀行が融資するのは8千万程度でしょう。しかし、この時代は1億円の土地を担保に1億1千万や1億2千万といった、地価以上のお金を貸し出していたのです。

こうしてお金を借りる→土地を買う→さらにそれを担保のお金を借りる→土地を買う…という不動産投資が大流行しました。

日本電電公社の民営化もバブルの要因に

また87年に日本電電公社が民営化し、NTTが誕生したこともバブルの要因です。この民営化によって、投資家たちはNTTの株を大量に買い始めました。そうすると株価も一気に上がり、当初は1株120万円ほどだった株価が、あっという間に300万円以上に。もはやそれを売るだけでも膨大な利益となるほどだったのです。すると今までは不動産にしか手を出していなかった人たちも、どんどん株を買い求めるようになっていきます。

さらに株式を発行する会社としても、どんどん株が買われていくのですから、資金調達を銀行から行うよりも、株式や社債を発行した方が、効率がいいのではないかと気が付きます。その結果、銀行は企業からお金を借りてもらえなくなってしまい、大きな顧客を失ってしまいました。歯車が狂い始めたのもこの辺りからでした。

大蔵省のテコ入れからバブルの崩壊へ

ここで動いたのが大蔵省です。大蔵省は各銀行へ総量規制を命じ、土地の売買を行う人への融資を控えるように通達します。さらに91年には地価税が導入され、土地の所有者に対して課税を行うようになりました。銀行からお金は借りられない、さらに税金まで取られる。そうなると当然土地を買う人も減っていきますよね。すると、それと共に地価もだんだんと低くなっていきました。

この時に土地を売り払った人はまだダメージが少なかったかもしれません。しかし、土地神話があまりにも根強く信じられてしまっていたため、一時的に下がってもまた復活するだろうと考えた人も多かったのです。ですが、現実は土地神話と真逆でした。時間がたてばたつほど、地価はどんどん下がり続けます。

その結果、不良債権が大量に発生しました。銀行から借り入れして土地を購入した人は、当然手元にはお金なんて持っていません。さらに担保になっている土地を売却したとしても、地価が下がっているので元金には全く足りません。こうして多額の貸出金が回収できなくなり、いくつもの銀行は統廃合に。投資家たちも多額の借金だけが残る形となってしまいました。とうとう訪れた、バブルの崩壊です。

バブルは現代の日本でも起こるのか

前回のバブルは1990年ごろでした。その30年後の2020年、日本では東京オリンピックが行われます。この年はまず好景気になるでしょう。投資家にとっては「売り時」ですよね。しかしその後の反動は予測がつきません。もしかしたら、バブルと同様のことが起こるかもしれません。どうやら、数年内に訪れるであろう景気のピークを見極められるかが勝負となりそうです。

 
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