前回、土地の価格は「一物四価」ということで、「時価」「公示価格」「路線価」「固定資産税評価額」の4つを紹介しました。

今回は、その価格の差について具体的に見て行きましょう。

東京でも地価が高いので有名な銀座2丁目の銀座通り(中央通り)沿いの「銀座2丁目6番7号」の土地を例に説明していきます。

この土地は、国道交通省の地価公示の標準地と東京都の地価調査の基準地に選定されていて、平成28年1月1日の価格が1㎡当たり28,700,000円(公示地 中央5-29)、平成28年7月1日の価格が1㎡当たり33,000,000円(基準地 中央5-13)となっています。

郊外なら一戸建てが買える値段ですが、これはあくまで1㎡当たりの価格です。

次に、国税庁のHPで路線価図(財産評価基準書)を見てみましょう。

公5-29 基5-13と書かれた箱で場所が示されています。その前にある道路に矢印が引いてあって、21,260Aと書いてあります。

これは、その矢印の引いてある路線に接面している土地の標準価格が1㎡当たり21,260,000円(千円単位)で、「A」は、借地権割合が90%であることを示しています。(借地権割合については、いずれあらためてご説明します。)

路線価の価格は、毎年1月1日付けの価格ですので、国土交通省の地価公示価格と比べてみましょう。

地価公示(中央5-29) 28,700,000円 

路線価          21,260,000円

価格が異なっていますね。

前回ご説明したとおり、路線価の価格は、平成4年度から地価公示の価格の8割程度とすると定められています。

路線価の価格=地価公示の価格×0.8

すなわち、路線価の価格を地価公示の価格に合わせるためには、逆算して0.8で割戻してあげればいいのです。

21,260,000円/0.8≒26,575,000円(※)

あれっ、まだ微妙に合いませんね。


●地価公示価格は土地の個別性を反映している

ここで注意したいのは、地価公示の標準価格は土地の個別性を反映していると言うことです。

銀座2丁目6番7号のある銀座通り沿いは、

地区計画(銀座地区 商業機能更新地区 A地区)に指定されていて、通常は容積率800%ですが、ある一定の条件を満たすと容積率が1,100%に緩和されます。公示地(中央5-29)は、この緩和基準に合致しているため、容積率が緩和(+300%)されていますので、同じ通り沿いでもちょっと高いのです。

地価公示の標準価格28,700,000円を路線価を割戻した価格26,575,000円(※)で除してみると、

28,700,000円÷26,575,000円≒1.07996・・・

となりますので、地価公示(中央5-29)は、容積率の緩和によって同じ路線上の標準的な価格より約8%高い・・・と言うことがわかります。

なお、固定資産税評価額は、土地の個別性が反映されていますので、地価公示の標準価格に0.7を乗ずれば、ほぼ一致するはずです。但し、固定資産税評価額は納税者やその利害関係者しか見ることが出来ませんので、ここでは割愛させていただきます。

 
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