さる平成28年12月22日に「平成29年度税制改正大綱」が閣議決定されました。
http://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2017/20161222taikou.pdf
不動産を所有・売買する方にとって気になる制度改正がたくさんありますが、中でも注目を集めているのがタワーマンション課税に関する改正でしょう。
「タワマン節税」と言う言葉をご存じでしょうか?
タワーマンションの高層階の住戸を買うと節税になるというので一時期話題になりました。
一般にマンションの価格は、同じ面積・間取りの部屋でも、高層階の方が眺望・採光に優れ、地上からの騒音が少ない等の理由で高く売買されています。低層階と高層階で、資産価値に倍以上の違いがあることも珍しくありません。
しかし、相続税の計算を行う際には、土地については一棟全体の敷地の評価額に、持ち分割合を掛けることによって計算し、建物については建物全体の評価額に対する専有面積割合を掛けることによって算定されます。(財産評価基本通達)
例えば、1000㎡の敷地に20階建で100戸のマンションがあるとします。
土地の相続税評価額を1㎡当たり100万円とすると、1棟全体の敷地(土地)価格は、
100万円 × 1000㎡=10億円
で、全戸専有面積(建物の床面積)が同じだとすると、相続税評価額は1戸当たり1000万円(=10億円÷100戸)となります。
この場合、階層による評価額の違いは発生しません。
2階の住戸も最上階の住戸も、相続税評価額は、同じ1000万円です。
しかし、実際には低層階と高層階では倍以上の価格差がありますので、高層階の住戸は、その価値の割には、相続税の評価額が安く済むというカラクリです。
しかし、この制度の抜け道を利用して、「被相続人が亡くなる直前にタワーマンションを購入して、死後すぐに売却」・・・というような事例が出てきました。
昨年の10月には、国税庁が全国の国税局に対し、タワーマンションを使った相続税対策への監視を強化するよう指示していたことが判明し、新聞などで報道され、その後の動向が注目されていました。
この報道がなされた際には、「どうせ税制が改正されるまで10年以上かかるだろう」などと言った楽観論が支配的でしたが、この短い期間でまとめ上げた国税庁の仕事ぶりには、驚くばかりです。正直アベノミクスで地価が高値で推移している今のうちに、しっかり税収を確保しておきたい意図が見え隠れします。
次回は、さらに詳しく見ていきたいと思います。(つづく)