AI系のアプリ

撮影=編集部

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日経新聞を読んでいない君でも、生成AIは知っていますよね。ChatGPTのみならず、Google Gemini、Microsoft Copilotなど様々なサービスが登場し、すでに業務を進める上で欠かせなくなっている人も多いのでは。今回はそんな生成AIの中でも今話題の中国のDeepSeek(ディープシーク)について見ていきます。

生成AIの新顔であるDeepSeekが突如として話題になったのは2025年1月27日、アメリカの半導体大手、NVIDIA(エヌビディア)の株価が17%も急落したことがきっかけでした。エヌビディア株が売られるきっかけとなったのが、中国のスタートアップのDeepSeekが2025年1月20日に発表した高性能AI「DeepSeek-R1(アールワン)」でした。性能の高さと開発コストの低さで、世界中で話題を呼びました。特に、OpenAIが発表したChatGPTの最新モデル「o1(オーワン)」に匹敵する性能を持ちながら、その開発を非常に低いコストで実現したことが注目されました。

AIを利用する側にとっては、セキュリティの問題さえクリアできれば、安価で高性能なAIが出てくるのはありがたい話です。しかし株式市場にとっては、DeepSeekの存在は当面のシナリオを狂わす恐ろしい存在になっています。DeepSeekが新しいAIモデルを発表すると、なぜ、半導体のエヌビディアの株価が下落するのかを確認しましょう。

エヌビディアが得意とする高性能GPU(画像処理装置)はAIの開発に欠かせないもので、これから需要が爆発的に伸びることが期待されています。こうした将来の需要拡大への期待を織り込む形で、エヌビディアの株価はこの2年で10倍くらいまで跳ね上がってきました。エヌビディアはいわゆる半導体株ブームを巻き起こし、GAFAM(グーグル、アップル、フェイスブック〈現・メタ〉、アマゾン、マイクロソフト)に代わってアメリカ市場の株高をけん引する存在にまでなりました。しかし、DeepSeekの登場により、AI開発のコストが価格破壊されるかもしれず、GPUの将来の需要にも翳りが見えるかもしれない。そんな予想からエヌビディア株が急遽売られたというわけです。この問題が長引けば、アメリカの株式市場全体にも影響しかねません。

さて、株式市場をも巻き込んだ衝撃的なデビューをしたDeepSeekですが、そもそも開発しているのはどんな会社なのでしょうか。DeepSeekの創業者は、1985年に中国で生まれ、中国の大学を卒業した梁文峰(Liang Wenfeng)氏です。梁氏が最初に頭角を現したのは、AIではなく金融の世界でした。2015年にヘッジファンドの「High-Flyer(ハイフライヤー)」を設立、AIを駆使して資産運用で成功を収め、2023年5月にAIの研究開発を行うDeepSeekを立ち上げました。なぜ高性能なAIを低コストで開発し、安価に提供できるのかについては明らかにされていないことも多いのですが、AIの学習方法を工夫し、従来の手法よりも少ない計算リソースで効率的に学習を行うことで、開発コストを抑えているとみられています。

DeepSeekにはChatGPTのデータのコピー疑惑が持ち上がるなど、まだ評価が定まっていません。真価がわかるのには時間がかかりそうですが、 DeepSeekの衝撃のデビューは、AIの開発研究はOpenAIやGoogleなど開発に巨費を投じることができる先行企業が絶対的に優位にあるわけではなく、研究の方法や研究者の知恵によっては、思わぬ方向から新たな企業が台頭してくる可能性があることを示唆しました。すでに私たちの仕事のやり方や価値を大きく変えつつある生成AI。今後はどう進化していくでしょうか。

 
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