今話題のAIチャット、何がどうすごいのか説明できますか?
今話題のAIチャット、何がどうすごいのか説明できますか?
日経新聞を読まない君でも、「ChatGPT」という言葉は聞いたことがありますよね。プログラムのコードを作成できて、学生たちのレポートも書けちゃう……と話題ですが、正直なところ使ったことがない、何者なのかわからないという人も多いでしょう。というわけで今回は、ChatGPTの超入門をお届けします。
ChatGPTは、アメリカのスタートアップ、OpenAIが開発したAI(人工知能)チャットボットです。2022年11月30日の公開後たちまち話題になり、2カ月で1億ユーザーを突破しました。
使い方は簡単です。ChatGPTの公式サイト(https://openai.com/blog/chatgpt/)の左下にある「TRY CHATGPT」をクリック、ガイダンスに従ってアカウントを作成します。登録は無料ですが、メールアドレスと携帯電話の番号が必要になります。アカウントができたら、あとは文字を入力するだけ。画面の下にある横長の窓にキーワードを入力すると、AIが回答を始めます。日本語で聞くと日本語で回答してくれます。誰でも無料で使えますが、利用者が集中している時でもアクセスしやすく、レスポンスが早い有料版(月額20ドル)も2023年2月に始まっています。
では、ChatGPTは何ができるのでしょうか。ChatGPTに聞いてみましょう。「ChatGPTで何ができますか?」。ChatGPTは「できるタスクの一例」として、質問への回答、自然言語生成、翻訳、対話、文章の要約を挙げました。
試しに、「中央区八重洲のおすすめ居酒屋」と入力してみると、「中央区八重洲には、おいしい居酒屋が数多くありますが、いくつかおすすめを紹介します」との書き出しで3つお店の情報を教えてくれました。店名のほか「焼鳥や串揚げが美味しい居酒屋です。手作りの味とリーズナブルな価格が魅力です」など親切におすすめポイントも添えてくれました。文章は実に自然で、人間が書いたようにしか見えません。しかし、3つの店舗についてそれぞれGoogleで検索してみると、実在するお店ではありますが、東京駅周辺に店舗があるお店はゼロでした。このようにChatGPTは回答にサラッと嘘の情報を混ぜ込んでくるので、表示結果を鵜呑みにすることはできません。また現時点では、2021年末までのデータしか学習していない点も注意が必要です。
従来のGoogleなどの検索は、検索結果をWebサイトの一覧で表示します。検索する側は、そのサイトを一つずつ当たりながら、欲しい情報を探していきますよね。一方のChatGPTは、結果を文章で答えるのが特徴です。回答が複数ある場合は、いくつかの候補に絞って提示します。まさに人間が質問に答えるような感覚でしょうか。
そして、とにかく自然な文章で回答するのがChatGPTの特徴です。スピーチの文案、法律文書の作成、レポートの作成などもできるので、世界中の学生がChatGPTにレポートを書かせていて、大学教授を悩ませています。小説の執筆や作詞などクリエイティブ系の作文もできると聞いたので、「ChatGPTをテーマにした俳句を作って」と入力してみると、数秒で5句詠んでくれました。「言葉の海/ 聞かせて/ 季節風」。五七五ではないけれど、それっぽくはあります。
さて、このChatGPTを開発したOpenAIと言う組織、名前を知る人は少ないかもしれませんが、アメリカの超有名起業家たちがお金を出し合って2015年に設立した、知る人ぞ知る存在です。出資者の一人であるシリコンバレーの有名アクセラレーター、ワイコンビネーター元社長のサム・アルトマン氏がCEOを務めています。また出資者にはテスラやツイッター買収でお馴染みのイーロン・マスク氏、決済のStripeの元CTO、グレッグ・ブロックマン氏なども参加しました。AIを人類のために生かそうと、研究・開発を行う組織です。
このOpenAIにお金を投じて、技術開発の後押しをしてきた企業があります。マイクロソフトです。マイクロソフトは2019年7月に10億ドル(約1360億円)出資したのを皮切りに、これまでにOpenAIに数十億ドル(数千億円)規模を投じてきました。
マイクロソフトは2023年2月、自社の検索エンジン「Bing」にOpenAIが開発した次世代AIを搭載することを発表しました。通常の検索結果に加えて、AIのチャットボットが文章で回答するようになります。回答内容には参照できるURLも付いていて、回答内容が事実かどうかを調べるのもラクになるようです。マイクロソフトはインターネットブラウザ「Edge」でもAIを搭載した新バージョンを開発しています。
こうした動きは「ネット検索の再発明」などと言われることもあり、世界の検索の9割以上を握ると言われる米Googleの牙城を崩すのではとの見方も出てきています。Google側もAIチャットボット「Bard」を発表しました。こちらはGoogleが独自開発してきたAIを搭載しています。AIチャットボットの開発競争は、ネット検索をどう変えるでしょうか。