半導体不足で家電が届かない!?わかりやすく解説
半導体不足で家電が届かない!?わかりやすく解説
画像=Pixabay
みなさんこんにちは。日経新聞を読んでいない君でも、モノの値段が上がったり、モノが不足したり、海外ではインフレうんぬんの話が出てきていることは、なんとなく知っていると思います。ガソリンの価格上昇に困っている人もいるかもしれません。
新型コロナが落ち着き、経済が正常化に向かおうとする中で、色々な動きが出てきています。中でも連日報道されているのが、半導体の不足についてです。半導体が足りないために、自動車の生産が落ち込んでいる、なんてニュースを目にした人もいるでしょう。これってどういうことでしょうか。そもそも半導体って何なのか。今回は半導体についてみていきたいと思います。
まず、半導体って何なのか、かんたんにみてみましょう。半導体とは、電気を通す物質(導体)と、電気を通さない物質(絶縁体)の間の性質を持つ物質で、電気を通したり・通さなかったりします。通常、「半導体」という言葉を使う時は、この電気を通したり・通さなかったりする特徴を利用した「電子回路部品」を指すのが一般的です。
さて、この半導体、なぜ足りなくなってしまったのでしょうか。端的に言うと、半導体の需要が拡大し、供給が追いつかなくなっているためです。中長期と短期とにわけて状況をみてみます。
実は、このままだと半導体不足に陥るということは以前から予想されていました。半導体はいまや、スマホやPC、冷蔵庫などの家電製品、自動車、そして電車や銀行ATMなど社会を支えるインフラに至るまで、あらゆるモノに搭載されています。近年特に数として増えているのがスマホですね。スマホは最新の半導体が搭載されていて、さらに、自動車での需要も拡大し続けているんです。エンジンの制御からカーナビまで、至る所に半導体が使われており、1台で数十~100個程度の半導体が搭載されていると言われています。特にこれからは、自動運転や自動車の通信などが発展していくので、1台当たりに必要な半導体の数は1000個を超えるようになると言われています。
このようにして、中長期的に半導体の需要が拡大し続けてきました。これに、短期的な要因として、新型コロナの感染拡大が重なったのです。
まず、コロナによって供給体制が乱れました。感染拡大を受けて工場が操業を停止したり、生産を抑制したりしたのに加えて、これに物流の停滞も重なり、半導体のサプライチェーンが大混乱に陥りました。また不幸なことに、旭化成やルネサスの半導体工場で火災が発生したり、アメリカでは寒波で工場が停止したりといったトラブルも半導体の供給不足に追い討ちをかけました。
同時に「コロナ特需」もおきました。リモートワークの普及や巣ごもり需要の拡大で、PCやタブレット、ゲーム機などの需要が拡大したのです。半導体が短期的に市場から消えた事情はこの辺りにありそうです。
こうした半導体不足が最も深刻なのが自動車業界です。2020年はコロナの影響から新車販売が落ち込んだため、生産を抑制するために車載用の半導体の注文を減らしていました。半導体メーカー側は受注減を補うために、スマホやタブレット向け半導体の受注を増やしていたんですね。2021年に入り、自動車販売が復調してきましたが、半導体メーカーはコンシューマー向けの製造で手一杯で、自動車メーカーは車載用半導体を確保できない状況になったといわれています。
当面は半導体不足が続く
この半導体不足の状況は、当面の間は続くとみられています。半導体業界では今、半導体をつくるための製造装置、それも中古の製造装置ですら品薄で手に入らない状態で、生産能力をすぐに増やすことは難しいようです。
そんな中で、新たに半導体の工場を作る動きも出てきました。半導体の受託生産世界最大手の台湾のTSMCがソニーと共同で熊本県に新工場を建設します。8000億円を投じ、2024年の操業開始を目指すこの工場で具体的に何を作るのかは明らかにされていませんが、自動車向けなどの半導体をつくると見られています。
TSMCの熊本工場は、日本政府が誘致したもので、建設に必要な費用の半額にあたる4000億円程度を国が支援するそうです。国を挙げての半導体確保がどのような効果をもたらすのか、しっかりみていきたいと思います。