課題の一つは、いつ、国際線の旅客需要が回復するか。欧州ではコロナの感染が再拡大し、再びロックダウンを始める都市も出てきました。国際線の需要がいつ本格的に回復するかを見通すのは難しい状況にあります。
より深刻な問題は、コロナで人々の移動や働き方、コミュニケーションに対する行動や価値観が変わったことで、出張需要が減少する可能性があるということです。zoom会議ですませられる用件がけっこうあることがわかってしまったことで、今後は出張の費用対効果が厳しく見積もられるようになるでしょう。したがって感染症が収束しても、ビジネス旅客需要は以前のようには戻らないだろうとみられています。
ANAはこうした人々の行動の変化に対応するため、ANAカードなどと連携したアプリ事業など、事業の多角化を進める方針を打ち出しました。収益源を多角化して、航空ビジネス一本足打法からの脱却を目指すというものです。それは再度の感染症の襲来への備えにもなるでしょう。しかし、新規事業が具体的にどんなものになるのか、うまくいくのかどうか、いつごろ収益化できるのかなどはまだ明確にはなっていません。
コロナは航空会社にビジネスモデルの変容を迫るくらいのインパクトをもたらしています。コロナが大きな構造的な変化をもたらしている点で、ある意味、オフィスや住まいのあり方が問い直されている不動産業界と似たようなことが航空業界でも起きていると言えるかもしれません。