日経新聞を読まない君たちへ
「日経新聞くらい読めよ」社会人なら誰もが一度は言われたセリフです。そりゃ、客先で経済ニュースを語れるとかっこいいですもんね。でも、「だって、みんな読んでないしな…」と、何となく済ませている人も多いのではないでしょうか。
それでは、心許ないので最低限に知っておいて欲しい経済ニュースを、経済誌の現役記者・編集者がこれ以上ないくらいにわかりやすく解説します。前回に続いて「景気の波」について解説します。(リビンマガジンBiz編集部)
みなさんこんにちは。日経新聞を読んでいない皆さんに聞いても仕方がないですが、8月14日にアメリカの長短金利が逆転した話題をご存知ですか。知らないですよね。
ここで言う長短金利は、アメリカ国債の長期金利と短期金利のことです。通常、金利は短期金利よりも長期金利の方が高いですね。不動産を買う時も、同じ金額を2年で借り入れるよりも20年で借り入れる方が金利が高くなりますよね。銀行の預金口座の金利も、普通預金よりも定期預金の方が高いですね。それと同じです。期間が長い方が金利が高くなります。
アメリカ国債も、短期金利よりも長期金利の方が高いんです。本来ならば。しかし、それが逆転しました。定期預金よりも普通預金の方が金利が高い状態になったようなもの(実際にはなっていません)、と書けば、今のアメリカ国債がとっても異常な状態にあると言うことがわかるでしょうか。
この異常事態に、金融市場は大いに慌てふためきました。何故ならば、これはアメリカが近い将来、景気後退入りサインと歴史的に捉えられているからです。アメリカは景気拡大の史上最長記録を更新中ですが、それが、いよいよ終わる。市場関係者に戦慄が走りました。おそらく、トランプ大統領にも。
なぜ長短金利が逆転してしまったのか、なぜそれが景気後退入りのサインなのか、という話は置いておいて、金融市場がなぜそうも金利逆転に怯えるのかを今回は考えます。その一つの理由は、「好景気はいつか終わり、景気後退期に入る」という暗黙の了解が市場関係者にはあるということです。
景気は良い時と悪い時を繰り返しています。これを景気循環と言います。好況、後退、不況、回復の4つの局面を繰り返しているんです。