日経新聞を読まない君たちへ
「日経新聞くらい読めよ」社会人なら誰もが一度は言われたセリフです。そりゃ、客先で経済ニュースを語れるとかっこいいですもんね。でも、「だって、みんな読んでないしな…」と、何となく済ませている人も多いのではないでしょうか。
それでは、心許ないので最低限に知っておいて欲しい経済ニュースを、経済誌の現役記者・編集者がこれ以上ないくらいにわかりやすく解説します。今回は「シェアリングエコノミー」について解説します。(リビンマガジンBiz編集部)
画像=写真AC
日経新聞は読んでいなくても、「シェアリングエコノミー」という言葉くらいは聞いたことがあるでしょう。または、言葉は知らなくても、すでにシェアリングエコノミーのサービスを利用している人は多いはず。
ある意味で、日経新聞を読まない君たちみたいな人たちがどんどん使っているのが、シェアリングエコノミーです。
シェアリングエコノミー協会によると、シェアリングエコノミーとは、「インターネットを介して個人と個人の間で使っていないモノ・場所・技能などを貸し借りするサービス」だそうです。具体的には、カーシェアリングや「メルカリ」などのフリマアプリ、衣類やバッグなどのレンタルなどがシェアリングエコノミーの代表格と言われています。
不動産もシェアリングエコノミーの主要なジャンルの一つです。民泊、それから駐車場や会議室などの時間貸しみたいなものが、一般にシェアリングの例として扱われています。
シェアリングエコノミー協会によると、2018年度のシェアリングエコノミーの市場規模は1兆8874億円で、右肩上がりで拡大しています。この協会は、2030年度には11兆1275億円まで市場が拡大すると予測しています。
売る・買う、じゃない「新しい消費」
シェアリングエコノミーに関連する言葉で、「所有」から「利用」の時代へ、なんてフレーズを聞いたことがあると思います。モノを購入するよりも、料金を払って一時的に利用する方が良いと考える人が、特に若い世代で増えています。
これ、経済的にはかなりの大転換で、だからこそシェアリングエコノミーは学者や専門家も非常に強い関心を持っているんですね。なんたって、企業はモノを売る(消費させる)ことで儲けを出してきたのに、それが根底から変わるわけです。
影響が大きい産業の代表は自動車でしょう。
国内の自動車販売は、1990年の777万台をピークに減少してきました。最近は回復傾向にありますが、それでも530万台弱ですから、ピーク時よりはだいぶ減っています。
自動車販売が減少する背景には、ある程度日本中に車が行き渡ったこと、また買い替えのサイクルが長くなったことなどがありますが、特に都心部では、カーシェアリングなどを利用する人が増えているということも大きいでしょう。
海外では、アメリカのUber(ウーバー)やLyft(リフト)などの「ライドシェア」と呼ばれる、相乗りサービスもすごく増えています。日本は規制があるためにあまり広がっていませんが、中国や東南アジアでも、ライドシェアは勢力をどんどん拡大しています。
所有から利用へのシフトが進めば、車が売れなくなります。当然、自動車メーカーは強い危機感を抱いていて、特に自動車最大手のトヨタ自動車などは、利用の部分でのサービス開発に力を入れています。