日経新聞を読まない君たちへ
「日経新聞くらい読めよ」社会人なら誰もが一度は言われたセリフです。そりゃ、客先で経済ニュースを語れるとかっこいいですもんね。でも、「だって、みんな読んでないしな…」と、何となく済ませている人も多いのではないでしょうか。
それでは、心許ないので最低限に知っておいて欲しい経済ニュースを、経済誌の現役記者・編集者がこれ以上ないくらいにわかりやすく解説します。前回に引き続き「年金2000万円問題」について解説します。年金って不動産とも深い関係があるんですよ。(リビンマガジンBiz編集部)
年金ってどうやって運用されているのか
日経新聞を読まない君は知らないでしょうけれど、7月30、31日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で、アメリカが政策金利の引き下げを決めました。アメリカの利下げは10年半ぶり。金融市場、株式市場が大きく動く波乱の季節が始まろうとしています。
「株とか買わないし」という人にとっては、利上げやら利下げやらというキーワードはまったく響かないでしょう。しかし、広い意味では、株安・株高はあなたの生活にも大きな影響を及ぼします。それも、将来の生活に。何の話かというと、年金の運用です。
みんなが納めた国民年金や厚生年金は、そのまま金庫で保管されるのではなく、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)という機関が運用しています。集めた年金を高齢者に分配して終わり、ではなく、運用して、運用益も年金の支払いに充てていく仕組みです。
GPIFが運用する資金の総額は、約160兆円。世界にはさまざまな機関投資家というものが存在して、年金基金の運用をする機関投資家もいますが、その中でもGPIFはダントツトップの規模です。市場で「くじら」と呼ばれる世界最大の機関投資家なんです。
GPIFは、国内外の株式と債券に投資して、公的年金を運用しています。内訳は、国内株・国内債券・海外株・海外債券に、ざっくり4分の1ずつ。そのうち国内株式に投資する金額は、約37兆8000億円。とりあえず、でかいことはわかりますね。このでかい金額が動くと(株を買ったり売ったりすると)、日経平均株価が動く。それくらいのインパクトがあります。
運用の成績はというと、2001年の運用開始以来の収益率は年率3%、直近5年は4.41%なので、すごくいいわけではないけれど、すごく悪くもない、というところでしょうか。当然、相場の変動の影響を受けるので、株式の下落が目立った2018年10-12月期は収益率がマイナス9%に落ち込み、ちょっと話題になりました。
さて、老後に2000万円足りないという話が話題になりましたが、実際のところ、GPIFがいくら上手に運用しても、年金だけでは老後の生活資金をまかないきれない可能性が高くなっています。長生きするなら、なおさらです。
そこで、自分自身でもちゃんと運用をして、資産を作っておく必要がある。あの年金の報告書で金融庁が主張したかったのは、実はそちらの方だったんです。具体的には、「長期」「積立」「分散投資」の組み合わせです。わからない奴は、投資の本でも買って一でも勉強してください。「長期」とある通り、長い目でコツコツ運用していく必要があるので、年を取ってからでは間に合いません。
▶運用が問題なのだ