国がわかりにくい制度を作って、ややこしい謳い文句で批判をかわしてきたのは間違いありません。でも、考えてみてください。日本の年金って、自分が納めた分を将来もらえる仕組みじゃないんですよ。日本の年金は、現役世代が払った年金で、今の高齢者を支える仕組みなんです(これを賦課〈ふか〉方式と言います)。少子化で働き手が減り、年金をもらう側が長生きすれば、それだけ年金のやりくりは難しくなります。自分が歳をとったときにはどうなる? なかなか怖いことになっています。
だからこそ「自分の老後のお金は自分で貯めておきましょう。資産運用しましょうね。頼みますよ!」と言うのが、この報告書の本来の主旨でした。
その前段の議論のところで、大騒ぎになってしまったと言うのが、事の真相です。
年金に触れると、高齢者層が敏感に反応します。投票率の高い高齢者を怒らせると、大問題になるのです。