リプラスは、滞納保証で急成長した企業でした。同社の姜裕文社長は、灘高→東大→ボストン・コンサルティングという、ピカピカの経歴を持つエリート。その姜氏が説く、滞納保証(家賃収納代行)の便利さに多くの管理会社が魅せられ、家賃収納業務を預けました。入居者が払った家賃は、金融機関を通じて一旦リプラスへ、そして管理会社へと支払われる仕組みです。
その家賃の流れを握るリプラスが、リーマン・ショックの余波を受けてまさかの倒産。管理会社は大混乱に陥りました。だって、リプラスが倒産しちゃったら、家賃が入らなくなっちゃいますから。「家主に家賃を建て替えるために、ベンツ1台分くらい自腹を切った」と嘆いた不動産会社の社長がいましたが、大手管理会社の中には結構な額の損失を被ったところもあったとか。大家さんに「今月の家賃は支払われません」なんていえませんからね。場合によっては、管理会社が連鎖倒産するかもしれない、と言うところまで、賃貸住宅市場は追い込まれたのでした。
アメリカの住宅市場から始まった金融危機が、日本の不動産デベロッパー、そして賃貸管理会社まで襲ってきたのがリーマン・ショックでした。世界の金融市場と、日本の皆さんが働く不動産業界は、実はものすごく近い関係にあることがわかりますね。
リーマンショック級というのは、こんな大変な状態だということは理解してもらえたと思います!
筆者:大学院卒業後、新聞社を経て経済誌で記者・編集者を務める。最新の経済ニュースを幅広く、取材している。