日経新聞を読まない君たちへ
「日経新聞くらい読めよ」社会人なら誰もが一度は言われたセリフです。そりゃ、客先で経済ニュースを語れるとかっこいいですもんね。でも、「だって、みんな読んでないしな…」と、何となくLINEニュースなどで済ませている人も多いのではないでしょうか。
そこで、最低限に知っておいて欲しい経済ニュースを、経済誌の現役記者・編集者がこれ以上ないくらいにわかりやすく解説します。第10回目は、前回に引き続きリーマン・ショック(級)について学びましょう。あのとき、何があったかのか、聞くとシャレにならない事態だったことがわかるはずです。(リビンマガジンBiz編集部)
みなさんこんにちは。今回は、リーマン・ショック(級)の後編です。
2008年にリーマン・ショックが起こる前の、2007年の前半くらいまで不動産業界は大変な好景気でした。この時期が何と呼ばれていたか、ご存知ですか。不動産市場では「ファンドバブル」と呼ばれていました。不動産ファンドが日本中の不動産を買いまくることで、市場は活況を呈していたのです。
ファンドバブルの波は、東京から始まり、地方都市へ。不動産が値上がりして利回りが低下しても、その動きはしばらく続きました。
値上がりを背景にしたキャピタルゲイン(値上がり益)狙いの短期売買も多数見られましたが、ファンドの運営会社の人は「今は収益還元法(※)で物件を査定している。バブルの頃とは違う」とビジネスモデルの安全性を力説していました。
※平成バブルの頃は、取引事例比較法がメーンでした。「この土地が1億円なら、隣も1億円だ」といった具合に、利用方法などを考えずにひたすら土地価格がつり上がっていったのです。これについては、また別の機会に。
しかし、リーマン・ショック後の金融市場の信用収縮(要は、お金を借りられなくなったということです)により、ファンドバブルはあっけなく崩壊します。
2008年の不動産業界はまさに、倒産祭りでした。有名どころでは、広島のマンションデベロッパー、アーバン・コーポレイション。大京出身の房園博行氏が創業した同社は、不動産ファンドへのマンション売却で大躍進し、東証一部上場企業まで上り詰めましたが、あえなく破綻。
毎週のように、というか毎週!不動産デベロッパーが倒産していました。
いずれも、ファンドが資金調達できなくなる→物件を買わなくなる→デベは物件が売れなくなる→倒産、という構図です。
金融機関が建設・不動産への融資を一気に絞ったことで、多くの会社が資金調達難になり、ファンドに直接物件を売却しない会社も、バタバタ倒産しました。
2008年は本当にたくさんの建設・不動産会社が倒産しました。レイコフ、スルガコーポレーション、ゼファー、キョーエイ産業、ノエル、ダイナシティ、モリモト……。
そして何と言っても、不動産業界、中でも賃貸住宅業界全体を巻き込む大騒動に発展した倒産劇といえば、リプラスです。