「日経新聞くらい読めよ」社会人なら誰もが一度は言われたセリフです。そりゃ、客先で経済ニュースを語れるとかっこいいですもんね。でも、「だって、みんな読んでないしな…」と、何となくLINEニュースなどで済ませている人も多いのではないでしょうか。
そこで、最低限に知っておいて欲しい経済ニュースを、経済誌の現役記者・編集者がこれ以上ないくらいにわかりやすく解説します。第2回目は日経平均についてです。経済ニュースで耳にする、あの数値でなぜあんなに大騒ぎするのでしょうか。(リビンマガジンBiz編集部)
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日経平均を決めているのは日経新聞
今回は、「日経平均株価2万円」について考えてみます。2万円はキリが良い数字なので、投資家はひとつの節目として、この数字を重視しています。
本題に入る前に、日経平均株価(略して日経平均)とは何かからおさらいしておきましょう。このコラムは日経新聞を読まない人向けなのでご存じないでしょうが、日経新聞の朝刊1面(この面にはとても大切なことが載っています)の左下に前日の日経平均株価が書いてあります。 日本の株式の値動きを示す代表的な指数には、東証一部に上場する全銘柄を対象にした東証株価指数(TOPIX)もありますが、日経新聞が日経平均押しなのは、自分のところの会社で算出している指数だからかもしれません。
この日経平均、東京証券取引所第一部に上場する銘柄のうち、主要な225銘柄の株価をもとに計算されています。「日経225」とか単に「225」なんて呼ばれることもあります。対象となっている225銘柄の株価が下がると、日経平均の数字も下がります。
2018年ー2019年の年末年始の株価大騒ぎは何だったのか?
さて、少し前に、この日経平均が2万円を割り込んで、投資家を慌てさせました。2018年から19年の年末年始のことです。18年12月半ばごろまで2万1000円を超えていた日経平均が12月25日に2万円を下回る大幅安となり、19年1月4日の大発会(年初の最初の取引日)でも、一時2万円を割り込みました。株式市場にとって今年は波乱の幕開けだったんですね。
前回のコラムで解説した米中貿易戦争(前回記事)にアップルの株安、そして世界的な景気後退への不安が高まったことで、リスクの高い株式を売って、よりリスクの低い資産(現金を含みます)におカネを移す動きが拡大したことが原因といわれています。
日経平均はその後2万円台を回復し、2月は2万1000円台で安定しています。現時点では暴落は一時的だったわけですが、瞬間的な混乱だったと片付ける前にちょっと考えたいことがあります。
黒田東彦総裁率いる日本銀行は今、大規模金融緩和を絶賛実施中なわけですが、その一環として、株式市場で上場投資信託(ETF)を買っています。18年の1年間だけで6.5兆円分を購入しました。日銀は超大物の投資家なんです。あわせて、年金の運用を担う年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)も株式を買っています。つまり、実は2つの大物投資家が日本株市場を買い支えしているわけです。
日銀は、18年12月下旬の荒れ相場の局面でも積極的に買いに入りました。12月18、20、21、25日そして28日の大納会(年末の最終取引日)までそれぞれ703億円ずつ買っています。合計703億円じゃないですよ、1日当たりで703億円です。これだけ必死に日銀が株を買っても、日経平均はあっさりと2万円を割り込みました。それくらい株を売った投資家が多かったということです。これは、世界の投資家は、悪い材料に非常に敏感になっていて、ちょっとしたことで売りに転じるということを示しています。
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