不動産チラシや新聞・雑誌の、インターネットなどの広告は不動産会社と消費者をつなぐ重要なものです。そのため、不動産広告には様々な決まりが設けられています。誤解や不信を招かぬよう正しい知識を持ちましょう!(リビンマガジンBiz編集部)

 

 

不動産広告の表示規制

 

不動産は、人生の中でも最大級の大きな買い物です。そのため、消費者に対して大きな影響を与える不動産広告には、数多くの制限が設けられています。不動産に関する法律・規約である宅地建物取引業法と公正競争規約には、それぞれ表示規則があります。



不動産チラシ (画像=リビンマガジンBiz編集部撮影)※本記事とは全く関係ございません

違反の疑いがある事業主は、首都圏公正取引協議会に呼び出されます。そこで罰則の有無を判断する査問が行われ、業務停止や免許停止、罰金などによって処罰されます。初めての違反の場合、50万円以下の罰金、2度目以降は500万円以下の罰金が課せられる可能性があります。

 

宅地建物取引業法・公正競争規約には、下記のルールがあります。

 

■誇大広告・不当表示の禁止

…物件内容や規模、環境について事実と著しく相違する表示をしてはいけない

 また、実際のものより優良・有利であると誤解させるような表示

 例)主要駅からバス移動の時間を短縮する

 

■特定事項の明示義務

…一般消費者が通常予測できない物件の性質・地形・環境に関するデメリットは、
 分かりやすい場所に明示しなければならない

 例)再建築不可の土地、市街化調整区域の土地

 

■広告開始時期の制限

…建物建築の工事完了前において許可・確認があるまでは売買に関する広告を禁止する

 例)分譲地は開発許可を受ける前、新築住宅は建築確認を受ける前に広告をしてはいけない

 

■取引態様の明示

…建物の売買・交換・賃貸の広告をするときは売主・代理・仲介等の明示をしなければいけない

 例)宅建業者が契約の当事者となって、建物の契約を成立させる

   売買の場合「売主」、賃貸の場合「貸主」

   宅建業者が代理人として契約を成立させる…「代理」または「販売代理」「貸主代理」

   宅建業者が媒介して契約を成立させる…「媒介」、「仲介」

 

不動産広告の審査をおこなう首都圏不動産公正取引協議会によると、2016年の調査対象物件は2,312件あり、その中で、規約違反の疑いで処分された件数は228件もあります。処分された228件すべてが不当表示に関するものです。

 


これらのルールの中でも特に重要な誇大広告・不当表示の禁止について解説します。

 

 

誇大広告・不当表示の禁止

 

広告内に表示される用語にも厳しい基準があります。

 

■完全無欠を意味する用語

例)完全、完璧、絶対、など

 

■他の業者の供給するものや他の業者よりも優位に立つことを意味する用語

例)日本一、日本初、業界一、当社だけ、他に類を見ない、など

 

■一定の基準により選別されたことを意味する用語

例)特選、厳選、正統派、推奨、など

 

■最上級を意味する用語

例)最高、最高級、最新、最適、最上級、一級、など

 

■著しく安い印象を与える用語

例)格安、特安、激安、お買い得、掘り出し、など

 

※表示内容を裏付ける根拠を示す場合には使用可能

 

出展:住宅・不動産広告制作マニュアル(2010・住宅新報社)

 

用語以外に価格表示についても不当表示の規制があります。それが二重価格表示です。

二重価格表示とは、実際に販売する価格に対して高い価格を併記するなど、実売価格に比較対象価格を付けることです。

例えば、「5000万円4000万円」といった表記をする場合です。

しかし、二重価格表示は禁止しているわけではなく、ルールに則って適正に行われている場合は問題になりません。

そのルールとは、対照価格が値下げ3か月前に公表されていた価格で、かつ、実際に販売されていた価格であることです。本当の値引き広告であれば、問題になることはありません。

 

(画像=フォトライブラリー)

今まで述べた不当表示の中で最も悪質なものがあります。それが「おとり広告」です。

 

 

おとり広告

 

おとり広告とは、消費者が見て他の物件より立地条件が良かったり、価格が安かったり誤認を与えてしまう広告表示のことを言います。おとり広告は特にインターネットで多い不当表示です。実際には存在しない物件を表示し、おとりにして消費者を引っかける広告です。不動産ポータルサイトで物件を掲載していて、契約になったにも関わらず、削除するのを忘れていた。これだけでも違反になってしまいます。

 

売買物件で多いおとり広告もあります。首都圏不動産公正取引協議会によると、売買物件で「新築一戸建」と表示しているが、実際は土地のみもしくは中古物件で取引しているものを勝手に新築物件と広告するものが多いという。問い合わせがきて、契約がまとまれば、新しく一戸建てを建てるというのです。売り主からすれば、実際に土地は売れているので、中々発覚しないケースが多いようです。

 

まとめ

 

不動産広告には、表示方法や用語にまで厳しい決まりがあります。重大な不当表示に対しては、最大500万円の罰金もあります。消費者は広告を見て問い合わせをします。広告は不動産会社と消費者をつなぐ重要なものです。改めてその意識を持ち、嘘偽りのないクリーンな広告を心掛けてください。

 

 
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