不動産賃貸仲介業の将来はどうなっていくのでしょうか。これから、後継者不足や、AIの登場によって、不動産賃貸仲介業も大きく変わっていくことが予想されています。不動産賃貸仲介業の今後について考えていきたいと思います(リビンマガジンBiz編集部)
(画像=写真AC)
■後継者不足の不動産業
どんな仕事でも次代を託す後継者探しは大変ですが、賃貸仲介業を含む不動産業も同じです。帝国データバンクの調査によると、不動産業経営者のうち約7割の企業で後継者がいないと回答しています。少子高齢化社会の中で、後継者が見つからないまま廃業を選ぶ不動産会社は少なくないようです。
東京商工リサーチによると、2016年に休廃業した企業は2万9583社あります。その中で不動産業は7.3%を占めており、賃貸仲介業を含む不動産業全体で、約2,171社が休廃業に追い込まれています。前年度は1,898社だったので、その数は増えていっています。不動産業は好景気と言われていますが、少なからず後継者不足が影響していると思われます。
■賃貸仲介はサービス業として進化する
研究者によると、不動産仲介業はAIの発達によって、将来消えてしまう職業の有力候補と言われています。消えないようにするには、どこを変えれば良いのでしょうか。
「仲介業はサービス業です。不動産に詳しいのはもちろんですが、人のことが好きが前提になります」と語るのは誠不動産の鈴木誠代表です。「完全紹介制の賃貸仲介」を掲げ、独自の取り組みが注目されています。
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鈴木代表は自分が納得して紹介できる部屋以外は、仲介しません。時には、客の要望を否定することもあります。「私のほうが、お客様よりも部屋に詳しいのです。こんな部屋は止めましょう、言えないならばプロだとは思えません」と語ります。
内見に行く際も、注目するのは部屋の悪い点です。「物件を紹介する際に良いところではなく、悪いところを伝えるのがプロの仕事、良いところはすでに図面やネットの情報が伝えています」と話します。
物件の近くにコンビニがあるか、日当りはどうか、というところはネットで検索すればすぐに分かります。ネットでは調べられない情報を現場で気づき、お客に伝えなければいけません。
手間はかかりますが、全てはお客に安心して物件に住んでもらうためだそうです。
「隣のベランダに落ち葉やゴミが散乱していたり、ゴミ捨て場が汚かったりなどで、物件管理に問題があるのでは?と推測することはAIではできないはず」
将来について不安になる前に、自分がAIに置き換えられるような仕事をしていることを改めるべきではとの主張です。
誠不動産は不動産ポータルサイトなどへの広告出稿なしで、40名以上のお客が常に物件紹介を待っています。
徹底したサービスで紹介やリピートにつなげることは、将来の不動産賃貸仲介の一つのあり方といえるのかもしれません。
不動産賃貸仲介の将来は一つではありません。
不動産業業界で働く、みなさんの参考になる企業をこれからも紹介していきます。
■まとめ
大きな問題となっている後継者不足。景気は良いと言われていますが、休廃業する会社は増える一方です。また、AIに取って代わられないように接客力を磨かなければ、その先がなくなってしまうかもしれません。特に重要視するべきは、ネットで調べられない情報を現場で気付き、客に伝えられるかです。そういった不動産サービスのプロとしての腕を磨きましょう。