「自宅の売却を検討しているが、税金が心配」という人は多いのではないでしょうか?自宅が高額で売れれば税金も止むを得ないかもしませんが、高値が期待できない場合にまで税金がかかっては売却のメリットが圧迫されてしまいます。
しかし、マイホームの売却益にはいくつかの特例が用意されています。そのため、納税額は抑えることができるケースが多いです。
一体どういった特例なのでしょうか?
<売却に係る、譲渡税とは>
家や土地を売却するとどの程度税金がかかるのかから見ていきましょう。まず、家や土地を売却したときの税金を「譲渡税」と呼びます。日常生活では「譲渡=無償で譲る」という意味かもしれませんが、税法上は売却益にかかる税目は譲渡税になります。
土地や建物の譲渡税は保有期間により税率が変わるため、「長期」と「短期」の両方ご紹介します。
【長期譲渡所得】
長期譲渡所得(譲渡した年の1月1日現在で所有期間が5年を超える土地建物)の税率は
譲渡所得金額×15%
【短期譲渡所得】
短期所譲渡所得(譲渡した年の1月1日現在で所有期間が5年以下の土地建物)の税率は
短期譲渡所得金額×30%
長期譲渡でも15%、短期譲渡の場合は30%もの税率が課されます。仮に3,000万円の売却益に15%の税率が課税されると、450万円になってしまいますね。しかし、譲渡所得は、売却額から「取得費」と「譲渡費用」を控除することが可能です。
【譲渡所得の計算式】
譲渡所得=売却益-(取得費+譲渡費用)
つまり、5,000万円で購入した家と土地の売却益が3,000万円、登記や印紙税などの譲渡費用が15万円だったとします。その時は、売却益5,000万円から3,000万円+15万を差し引いた、1,985万円まで売却益を圧縮することが可能です。しかもマイホームの売却ならば、更に控除を受けることも可能です。
<3,000万円特別控除とは>
マイホームを売却した際は更に3,000万円特別控除を受けるられます。適用には要件がありますが、条件を満たせば3,000万円まで控除可能です。
先ほどの例ですと、すでに譲渡所得が1,985万円となっているため、この特例を更に適用すれば課税価格をゼロにすることができます。
【3,000万円特別控除の主な要件】
- ・日本国内の、自分の住んでいた家、もしくは家と土地を売る
・売った年の1月1日において売った家、土地の所有期間がともに10年超であること
・売却先が親や夫婦でない
・3年以内にこの特例を利用していないこと
・マイホームの買い替えや交換の特例を受けていない
※詳細要件は国税庁HP(https://www.nta.go.jp/taxanswer/joto/3302.htm)でご確認ください。
長年住んできた家を住み替えたい、というご夫婦や家族であれば多くの方が要件を満たすのではないでしょうか。
このように、税金がかからなければ一番いいですね。場合によっては売却益が3,000万円を大きく超えるときもあるかもしれまん。
しかしマイホームの売却ならば、まだ心強い制度があります。
<マイホームを売ったときの軽減税率>
実は、マイホームの売却益は、6,000万円まで特別に低い税率が適用できるのです。税率は6,000万円以下ならば10%です。冒頭でご紹介した長期譲渡の「15%」よりさらに低い税率ですね。
うれしいのは、「3,000万円特別控除」と併用が可能なことです。取得費と譲渡費用を除いた譲渡益が3,000万円を超えたとしてもプラス6,000万円までは低い税率で済むのです。
もしも3,000万円を控除してもなお売却益がある時は、軽減税率の適用をお忘れなく。
※ここでの税率はわかりやすさを優先し、住民税および復興特別所得税は除いています。ご了承ください。
<まとめ>
マイホームであれば、譲渡税はかなりの優遇があります。「土地建物を売ると税金が高い」と思い込んでおられる人も多いですが、マイホームに関する特例は豊富です。
要件を知り、賢く活用したいですね。