「いやいや、何を言っているのか??不動産投資家はいわゆる大家業(不動産賃貸業)だから、宅建業の免許なんて必要ないでしょ。現に何の取り締まりも受けていないし。」
そう思いの方がほとんどだと思います。
たしかに、老後の年金の足しにマンションを購入(複数でも可)、または相続税対策のため自用地にアパートを建築するなど、一度得た土地建物を大事に保有し続け、売却ありきではなく、その賃料収入が唯一の儲け、という人なら何にも問題はありません。
ところが、不動産投資家の多くはインカムゲイン(賃料収益)だけでなく、キャピタルゲイン(転売利益)を求め始めます。
気が付いたら、相場より安く仕入れて、数か月または数年保有したら相場で売却することを目論む毎日。
中には「今月は一度に3棟売却(または購入)します」なんて人も。。。
つまり、「投資」とは、こういうことにつながりますよね。
むしろ出口戦略を考えずに儲けよう、と考えている不動産投資家は少ないのではないでしょうか。
そうだとすると、その行為は違法…宅地建物取引業法に定める「宅地建物取引業」に該当し、宅建業の免許を受けてないとやってはいけない行為なのです!
疑う方は調べてみてください。
国土交通省が発表している「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」では、宅地建物取引業法第2条第2号に規定されている「宅地建物取引業」の定義についてわかりやすく記されています。
投資による現物不動産の取得・転売は利益を目的とし、反復継続的に行われることから事業性が高く、よって「宅地建物取引業」に該当していることがわかります。
ちなみに、宅建業の免許とは宅地建物取引士の試験に合格して登録を受けることだけではありません。それはあくまで一要件です。その他、保証協会へ加入するための資金など最低200万円、そして独立した事務所を設けなければならない等、いくつかのハードルがあります。
そんなこととは知ってか知らずか、無免許のサラリーマンや主婦が不動産投資(転売差益)で大儲けし、セミナーを開催したり、本を上梓したりしている人を見ると、少し心配です。
罰則の適用により吊し上げられたりするような動きは今のところありませんが、今まで既に複数の転売取引をしている場合(すべてが売却損であったとしても)、その者が新規に宅建業の免許を申請すると、「無免許で取引を行った者」として免許を受けることはできないことがありますので十分ご注意ください。