地主さんから建物所有目的で土地を借りている借地人さんが借地権を売却しようとするとき、簡単にいかないことが多いです。ここでは旧借地法の借地権が前提で、「借地人さんの勘違い②」についてご説明いたします。
借地権は地主の承諾がなければ売れない
借地権は借地人さんにとって財産権だとはいえ、地主さんの事前の承諾なくして借地権を売却することができません。
地主さんからしてみれば土地を貸しているのは借地人さんに対してであって、その借地権を見ず知らずの第三者に勝手に売ることはできないのは当然です。
もし地主さんの借地権譲渡承諾がないまま第三者に売却してしまったら、賃貸借契約を解除されかねません。
借地権を売りたいなら、まず地主さんが借地権を買い取る意向があれば地主さんと買取り交渉し、売買価格がまとまらなければ第三者へ売却することを地主さんに承諾してもらうという手順を踏むことになります。
この場合、地主さんはなるべく安く買いたく、借地人さんはなるべく高く売りたいわけですが、地主さんが借地権を買い取りたいのに借地人さんが地主さんの買取り価格が低いからといって売らない場合、地主さんは第三者に売ることを承諾してくれないことが多々あります。古いタイプの地主さんの場合、底地であってもご先祖様から代々受け継いだ大切な地所との思いが強い方が多く、何十年前、借地人さんが困っていたので権利金ももらわず善意で土地を貸したのに、そのことを棚に上げて、借地人さんが借地権をお金にするということに納得できないからです。
貸したものは返す、使わなくなったら地主に返すのが筋である、とお考えになるんです。
もし、地主さんとの関係がこじれて地主さんが感情的になっていると、地主さんによる借地権の買取り以前の問題です。
感情的になって借地権売却を一切承諾しない地主さんもいます。
借地人さんの中には、地主さんからの更新料の支払いや地代の値上げの申し入れに対してなんでも反対する方がいらっしゃいます。
借地権の財産価値を重視するなら、地主さんと良好な関係を保つことが大切であり、更新料にしろ地代の値上げにしろ、地主さんからの申し入れが相場の範囲なら受け入れたほうがいいでしょう。
地主さんが借地権の譲渡(売却)を認めてくれなければ、裁判所に借地非訟を申し立てて裁判所に地主の借地権譲渡承諾に代わる許可を受けることもできます。
しかし買う側としては地主さんと関係がこじれている借地権は裁判所に地主さんに代わって借地権譲渡許可をもらっても金融機関の融資を受けることが難しく、また将来的な転売にも支障来しますので、不動産プロ向きであり、相応に安くなければ売却できません。
借地権の財産価値は、地主さんとの信頼関係、地主さんの考えに左右されるといえます。