地主さんから建物所有目的で土地を借りている借地人さんが借地権を売却しようとするとき、簡単にいかないことが多いです。ここでは旧借地法の借地権が前提で、「借地人さんの勘違い①」についてご説明いたします。

借地権は都市部でなければ売れないかもしれない


借地権は地価が高い都市部であれば財産価値はありますが、特に人口減少が著しい地方においては、借地権の財産価値は一部商業地を除いてほとんどありません。

建物の利用価値があればその範囲で売却できる余地は残っていますが、これは借地権価格というより建物価格といったほうが正しいです。
土地価格より建築費用のほうがはるかに高いので、好き好んで借地権付建物を買うメリットが少ないからです。

更地価格が坪10万円前後の地方の住宅地においては、借地権は単独ではまず売れません。

更地価格が坪20~30万円のエリアでも借地権単独の売却は厳しいものがあります。

地価が低い地域の借地権で、もし建物が老朽化して借地権の使い道がなくなれば、借地人さんが自分で建物を取り壊して更地にしてから地主さんに無償で返還するケースが多くなります。借地権の財産価値がない以上仕方ないことです。

借地権は路線価割合で売れない


路線価図には路線(道路)ごとにABCDEFGという記号がつけられています。

この記号が借地権割合を意味します。東京23区の住宅地は普通CまたはDがついています。

Cは借地権割合70%、Dは借地権割合60%です。
この借地権割合で借地権が売れると勘違いしている借地人さんがとても多いです。

路線価の借地権割合は税務評価上の割合であって、実際に取引される借地権時価を意味しません。

実際、借地権を単独で第三者へ売却する場合、この割合ではまず売れません。

C地区でもD地区でも、売れてもエンドユーザー価格は、都市部で更地価格の50%前後といったところです。
これから地主さんへ借地権譲渡承諾料や不動産会社へ仲介手数料など、諸費用を支払うと、手取りは更地価格のせいぜい40%前後になります。

借地権の買主が不動産業者で、建売目的(借地権転売)で購入する場合、借地権価格はさらに低くなります。これが普通です。
もし借地人さんが地主さんとの関係がこじれて、地主さんが感情的になって借地権譲渡に応じなければ、借地権の売却がスムースにいかなくなります。

 
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