相続欠格というのは、相続人であったとしても法で定められた悪質な行為をすることで相続の権利を失ってしまう制度。
でも悪質な行為っていったいどんなものなのでしょうか?
相続欠格について説明します。
○なぜ相続欠格という制度があるのか
まず最初に、なぜこのような制度が設けられているのかを考えてみましょう。
遺産相続とは亡くなった被相続人が遺したあらゆる財産や権利を、相続人が受け継ぐというもの。
しかしこの遺産相続では、トラブルに発展してしまうケースも珍しいことではありません。
その理由はというと、より多くの遺産を得たいと考える人がいるからです。
もちろん自分の利益は少ないよりは多い方が良いので、そう考えてしまっても無理はないでしょう。
なのですがその中には、手段を選ばずに多くの遺産を得たいという人もいます。
そんな人に対しての制裁措置として、相続欠格という制度は設けられているのです。
○このような行為をしてしまうと相続人にはなれない
ではどのような行為をすると、相続の権利は失われてしまうのでしょうか。
まず挙げられるのが、被相続人やその相続での順位が先の人、同順位の人を、故意に殺害したケース、または殺害しようとしたというケース。
これは誰もが当然と感じることと思います。
このような人がもしも遺産を受け継ぐことができてしまうと、他の相続人も黙ってはいられないでしょう。
また被相続人が殺害されたことを知りながら、黙っていたという人も相続欠格に該当します。
しかしその人が良いこと悪いことの区別がつかない場合、または殺害者が配偶者や直系血族であった場合は当てはまらないこととなっています。
○自分には無縁、とは言い切れない
遺産相続で非常に重要となるのが遺言書。
被相続人の遺した遺言書の内容によって、遺産がどのように相続人に分割されるかが決定します。
そのため不正に財産を得たいと企む人は、遺言書の内容を操作しようと考えます。
そのような人も、この相続欠格の対象となります。
たとえば詐欺や脅迫によって被相続人の遺言を妨げたり、遺言の内容を変更させるなどした人。
他にも遺言書の偽造をしたり、誰にも見つからないように隠すなどの行為をした人です。
相続欠格には正式な手続きなどがありません。
上の5つの規定に当てはまった時点で、相続人としての権利はなくなってしまうのです。
相続欠格というのは、相続に関する人の命や被相続人の遺言を守るためにある制度。
相続欠格に該当されないための5つの規定は、人として常識的なものばかりです。
しかし財産に目がくらんで、悪質な行為をしてしまう人が身近に現れてしまうこともあるかもしれません。
自分には無縁のこと、とは誰も言い切れないのです。