相続対策と一言に言ってもさまざまですが、やはり一番気になるのが相続税。
そんな相続税の対策を不動産管理会社から提案されることも少なくありません。
そこに潜むリスクについて考えてみました。
2015年に相続税が改正され、基礎控除額が縮小しました。
この改正により多くの人にとって他人事ではなくなってしまった相続税という存在。
不動産管理会社からその対策を提案されたなんて人も少なくないでしょう。
○管理会社がしてくる相続対策の提案とは?
では不動産管理会社が提案してくる相続対策とは、いったいどういうものなのでしょうか。
それはアパートやマンションなどを建設して行う賃貸経営。
賃貸用の住宅を建てて貸家建付地にすることで、土地の評価額を下げることができます。
そうすることで節税へとつながるのです。
そのため相続税対策を目的としてアパートやマンションを建設するケースは、非常に多いのだとか。
しかし現在、税理士などの専門家の中には賃貸の経営を勧める人は少ないようです。
それはいったいなぜなのでしょうか?
○その対策には大きなリスクがある
その理由は大きなリスクがつきまとうからです。
借り入れをして賃貸経営をスタートし、相続税を抑えることに成功。
しかし、もちろんそれでは終われません。
その後、賃貸経営をしていくということは、しっかりと黒字を出していかなくてはならないということです。
家賃収入から修繕費などの経費を差し引いた残りのお金で、借り入れ金の返済をし続けてていかなくてはいけません。
返済が困難な状態が続いてしまうと、その不動産は売却しなくてはいけなくなります。
相続税を抑えようとした結果が、財産を手放すなんてことになってしまう可能性もあるのです。
決して簡単とは言えないそんな賃貸経営を、不動産管理会社はさらっと勧めてくるというわけです。
そしてその提案をしてくる際の見積書は熟考されていないことが少なくありません。
空き室のリスクや経費がどれだけかかるかなどは、賃貸経営をする上で非常に重要なこと。
しかしその点もあまり深く考えられていない場合が多いのです。
○自分でしっかりシミュレーションを
賃貸物件の空き室率の増加が社会問題となっている昨今。
そんな時代に不動産の賃貸経営というのは、当たり前のように簡単にできるものではなく、ある程度のノウハウが必要となります。
おいしい話にはリスクがあると考えるのが賢明です。
また自分の不動産のことを、管理会社が長い目をもって考えてくれているとは限りません。
管理会社の言いなりにはならず、立地のマーケティングや収支のシミュレーションをしっかりと自分でしてみてから検討するようにしましょう。