高級住宅地とはどういう場所?
高級住宅地というと、たとえば田園調布や成城学園などが思い浮かぶと思います。
実はこれらの高級住宅地にはそれぞれに共通点があります。
東京の高級住宅地の位置は皇居を中心として同心円状に形成されています。
<都心部>
代表的な都心住宅地としては「番町」、「高輪」、「麻布」、「西片」などがあります。
これらの地域の共通点は江戸時代の旗本・直参と称された武家屋敷の跡地で、
高台にあることです。
1区画も200~500坪以上と、敷地が広いので緑も多い戸建住宅が中心で、
高層マンションはほとんどありませんでした。
また、街路も整理されており道幅は標準で8mあり、その割には地域を通りぬける車両は
少なく歩いていても快適な生活環境だと感じます。
こうした閑静な環境や由緒ある土地であるという「地位(ぢぐらい)」の高い地域を好む
著名人の自宅や大企業の迎賓館、大使館などが多く立地しています。
(一番町)
<山手線沿線>
有名なところとしては「大和郷(本駒込6丁目)」、「松濤」、
「池田山(東五反田5丁目)」、「御殿山」などがあります。
これらの住宅地は山手線の西半分に集中しており、駅から近い割には驚くほど閑静な住環境
となっています。地名から想像がつきますが、やはり高台に立地しています。
共通点としては明治末期から昭和初期にかけて財閥企業などによって開設された「分譲地」
で当時の文化人やお金持ちがこぞって購入して移り住んだようです。
それまでは土地や家は借りるものであって売買するものではなかったので大きな変化になりました。
同じ都心部でも商業地などでははこういう分譲ができなかったので、日本橋や銀座など
ではいまだに借地が数多く残っています。
(大和郷)
<郊外地>
代表的な郊外住宅地としては「成城学園」、「田園調布」、「石神井公園」、「善福寺」、
「吉祥寺」、「洗足池」、などが挙げられます。
いずれも大正時代から昭和にかけて造成分譲された「新興住宅地」で、
いまでいう不動産デベロッパーなどが事業主体になりました。
このうち後記4つの地域はいずれも奥多摩山塊からの地下水脈が地上に湧水となり形成された
池の周りに存在する住宅地で、水辺環境に恵まれた快適な地域です。
今では高級住宅街ですが、80~100年前はようやく電車が開通しているかか
どうかという「郊外地」で当時の農地などを転用して住宅地とした地域でした。
(石神井公園周辺)