道路幅員と地価との関係
道路幅員と地価には密接な関係があるといいますが、
これにはどういう理由があるのでしょうか?
道路の幅員が広ければ広いほど土地の価格は高いのでしょうか?
適正な道路幅員というものはあるのでしょうか?
<道路幅員と容積率>
容積率は用途地域ごとに定められた土地の面積に対する建物の面積の割合ですが、
これには道路幅員との関係で例外が定められています。
一般原則はつぎのとおりです。
建築基準法に「道路幅員による容積率低減係数」という制度があります。
これは指定容積率の数値にかかわらず、道路幅員に商業系用途地域においては0.6を、
その他の用途地域においては0.4を乗じた数値をもってその土地の容積率の上限
とするというものです。
たとえば容積率200%の住居系用途地域で道路幅が4mであれば、
4m×0.4=160%が上限になります。
商業系用途地域では容積率600%あっても前面道路が6mであれば
6m×0.6=360%が容積率の上限となるというものです。
地価はその土地にどれだけのボリュームの建物が建てられるかによって決まりますので、
この低減係数による影響は非常に大きいものがあります。
東京都心部では商業系の容積率は600%が標準ですが、裏通りの6m道路に面した土地は
容積率が360%にしかなりません。
その土地が狭小地であれば賃料も低いので、二重に差がつくことになります。
したがって裏通りの地価は表通りの1/3~1/5程度で、その格差は容積率の差以上に
大きなものとなります。
<路線価図でみてみると>
表と裏では3倍の開きがあると言われてもにわかには信じられないかもしれませんが、
このことを路線価図で検証してみましょう。
日本一の地価になっている銀座4丁目交差点付近の路線価を見てみると銀座通りから
一本入っただけで地価は1/3~1/5くらいになっていることがよくわかります。
ただし、現在では銀座のような高度商業地を中心に地区計画が定められ、
容積率や道路斜線制限を緩和したりして土地の有効利用度を引き上げるような施策
がとられていますので、今後はこの格差は縮小する方向に向かうことになるでしょう。
<適度な道路幅員>
適切な道路幅員というものは土地の利用用途によって異なると考えられています。
●商業地
幅員は20m以上あるのが望ましいのですが、同時に両側に最低6m以上の歩道が
ついていると歩行者の便や自転車との共用、地下鉄の出入り口やエレベーター・交番などが
設置できるので、利便性が高いと言えます。
商業地のうち、店舗街については歩行者天国を設定して顧客の吸引力を高める工夫がされています。
●住宅地
容積率は大体200%くらいですので、容積低減係数を考えても5m以上は
欲しいところで、車両通行との共存性を考えると6~7m程度が適切な幅員といえます。
それ以上広いと通り抜けの車両通行量が増えてかえって安全性が脅かされる傾向があるからです。
●工業地
大型車両の出入りがありますので、最低でも10mは必要とされています。
広いほどトレーラーやコンテナ車などの車長のある車両の出入りが楽ですので、利便性が高まります。
ただし、中央分離帯があるような幹線道路では実質の幅員は半分ですし、
右折での出入りができないなどかえって不便になってしまいます。