<地盤をよく知ろう>第1回
みなさん、こんにちは。あっという間に今年も終わりですね。
これから春にかけては家を買ったり、引っ越しをしたりと、住む場所が変わる人も多い時期だろうと思います。
転居場所を選ぶには通勤・通学時間、買い物の便利さ、などの住み心地が一番大事ですが、
あまり重視されていないのが、その土地の地質・地盤の状況です。
これから何回かに分けてこのテーマを考えてみたいと思います。
≪地盤がなぜ大事?≫
地盤が弱いと次のような現象によって建物に被害が及ぶことがあります。
●液状化現象
地盤が弱いと液状化という土地が液体のようになる現象によって道路や建物が壊れてしまうということがあります。
東日本大震災では首都圏でも海沿いの埋め立て地などが大きな被害を受けたのは記憶に新しいことです。
●振動増幅現象
地盤の上に弱い地層が分厚く重なっていると、地震の際の揺れはフォーカシング減少といわれる作用によって、
何倍にも大きくなり、揺れによる被害を大きくします。
古い話ですが、関東大震災の時には地層の弱い東京の下町では右図の通りほとんどの木造建物が倒壊しています。
●不同沈下現象
木造建物でもその重さはかなりあり、40坪の総2階建てで総重量は40トンにもなります。
地盤が弱いとこの重さに耐えられず、地中に沈んでいくことがありますが、同じように沈まず、
建物が傾いて住むことできなくなってしまうことがあります。
≪地盤の調べ方≫
こういうことがないようにあらかじめ地盤の状況を調べたほうがいいのですが、
なにしろ地面の中のことなので、目で見てもわかりません。
整地したり舗装したりしてあれば大丈夫かと思ってしまいますが、
最近ではネットで地盤の状況や地層の状況が公開されている地域もありますので、これらを使って調べてみるといいでしょう。
●日本シームレス地質図
https://gbank.gsj.jp/seamless/index.html
日本全国の地質や活断層を調べることができます。
(出所)独立行政法人産業技術総合研究所 地質調査総合センター
●東京の地盤あるいはKunijiban
ボーリングデータを図式化したもので、表層から地下の岩盤(礫層)までの地層の様子を視覚で見ることができます。
全国をカバーするのは国土交通省・国立研究開発法人土木研究所で運営しているKunijibanというツールがあります。
http://doboku.metro.tokyo.jp/start/03-jyouhou/geo-web/000-geo-web03.aspx
http://www.kunijiban.pwri.go.jp/jp/about.html
(出所)東京都土木技術・人材育成センター
≪地質・地盤の判定≫
地質・地盤の状態については次の点に留意すればいいでしょう。
●形成された時期
なるべく古い方がいいのですが、新しい埋め立て地でも液状化対策がしてあれば大丈夫です。
ただし、道路も含めた街区全体で対策をしてあることが必要です。
●地層の厚み
ボーリングデータから、地下の岩盤(礫層)までの厚みが20メートル以内かどうかを見る。
この間にある砂層が厚いと地震には弱いということになります。
●標高
海面から10mくらいは高いほうがいいのですが、東京の下町ではゼロメートルかそれ以下という地域も多いで、
その場合には近くに避難場所があるかどうかを確認する必要があります。