皆さん こんにちは!LR会計の山田です。
本日のテーマは「社長が社宅を買い取る時の値段の決め方」です。
節税目的で、自宅を社宅にしてしまえグハハハという話は書籍等で紹介されておりますので
ご存知の方も多いかと思います。
で、ああいう本を見る度にいつもヤマダは思うのです。
入口だけ紹介して出口の言及がないって不親切だよね。
なので、親切なヤマダは本日、社宅の出口について解説いたします。
「簿価でいいかな?」
顧問先のA社長から主語のない電話がかかってきました。
顧問税理士としては、ウム、これはじっくり話を聞かないとと思う瞬間です。
概要は次の通りです。
A社長は複数の会社のオーナーなのですが、M&Aの交渉がようやくまとまり、B社を売却することになりました。
1つ検討課題になったがA社長のご自宅がB社の社宅になっていたことにあります。
B社株式を100%売却するとなると、
当然、B社の保有資産であるA社長の自宅マンションも含まれます。
でも、A社長としては、当該マンションを気に入っているので、そのまま住み続けたい。
じゃあ社宅をA社長がB社から買い取ろうという話になりました。
(社長)<簿価でいいかな?
(d´Д`)<いや、ちょっと検討しないとですね。
(社長)<売却損が出なければいいんじゃないの?
(d´Д`)<いや、こういう場合、原則があるんですよ
(社長)<原則?
(d´Д`)<売却時の価額は「時価」が原則なのです!
(社長)<時価って逆に曖昧じゃないの?
(d´Д`)<と言いますと?
(社長)<だってマンションの買取業者が提示する価格って結構差があるって聞くよ。
(d´Д`)<あ、それは本当にリアルな時価ですね。
1つの言葉の意味を巡ってたまに顧問先とヤマダの間での感覚のズレを感じます。
いや、これはお客様の責任ではありません。
例えばここでいう「時価」。
税法上での不動産の時価として認められているのは大きく分けて次の3種類があります。
・路線価などの公的な評価額
・近隣の売買実例
・不動産鑑定評価額
上場株式のように、取引所で1つの時価が決まっていれば簡単なのですが、
時価にも幅があるのが不動産の厄介でもあり面白いところです。
では、上記の「時価」として認められる情報を全て集めて比較検討すればよいのかというと・・・
理屈としては正しいのですが、すごく大変です。
たまにあるのが
(社長)<友人に不動産業者がいるからそいつのちょろっと調べさせるからそれでいいじゃん!
(d´Д`)<客観性がないですし、複数業者の情報がないと危険ですよ。。
どうにかご自分にとって有利な方法で乗り切ろうというその発想は分かるのですが、
安易に決めて後の税務調査で指摘されるリスクを思うと顧問税理士としては見過ごせないところです。
(社長)<じゃあどうすればいいのさ?
(d´Д`)<不動産鑑定士さんにお願いしましょう!
(社長)<でもそれお高いんでしょう?
(d´Д`)<見積を取りますのでそれ見て判断してくださいね。
はい、平凡なオチで恐縮ですが、安易な情報収集をして税務リスクを抱えるくらいなら
最初に適正なコストをかけて将来のリスクを遮断することをお勧めします。
また、ご自宅を社宅として購入して節税メリットを享受してきたわけですから、
手仕舞いの時にある程度のコスト負担をするというのはやむを得ないことだとも思います。
節税策ってつい目先のメリットに気を取られてしまいますが、
将来想定されるデメリットについても把握することが大切です。
あ、もちろん、アドバイスする側も肝に銘じないといけませんね!