ようやく暖かくなったと思いましたら急に寒さが戻ってまいりました。
桜の花が咲く前の天候が変わりやすい時期なので体調管理には気を付けてくださいね。
東京都総合不動産コンサルタントの渡邊です。
さて、今回は、地中埋設物のお話です。
Y不動産屋さんが、売主Aさんから建物が解体されている更地の土地Wの売却を依頼されました。
そこにたまたま土地を探している買主BさんがY不動産に訪れて、売主Aさんの土地の
購入を申し込みました。
無事に売買契約が終わり、買主Bさんに土地Wを引き渡して1カ月が過ぎたころに、
買主AさんからY不動産に「建設業者が建設工事の前に土地調査を行った結果、土の中に建物の廃材が埋められているのが発見されたと報告があったが、売買契約の時の説明では、売主Aからもお宅からもそんな説明は一言もなかったがどういうことなのか。」という連絡が入る。そして、買主Bは「お宅の説明義務違反なので撤去費用と損害を賠償してくれ。」
と言ってきました。
Y不動産は、地中埋設物があることも知らなかったので、売主Aに確認しましたが、売主Aも地中埋設物があることは知りませんでした。
その後、売主Aが調べたとところ、建物の解体時に解体業者が土の中に建物の廃材とコンクリート片などを埋めたことがわかりました。
このような場合に、媒介したY不動産は損害賠償責任を負うのでしょうか?
通常、軟弱地盤、地中埋設物、土壌汚染等の土地の瑕疵は、専門家による検査・調査を行わなければ発見することは大変難しいことです。
Y不動産は、地盤調査の専門家ではありませんので、土地の瑕疵調査まで求めるのは酷だと言えます。
よって、宅建業法でそこまでの調査は求めておりません。
例えば、Y不動産が土地の瑕疵について知っていた場合には説明義務があり、知りえる状況にあるときには一定の調査・確認を行い、判明した事実について説明義務が生じます。
今回の場合は、Y不動産は地中埋設物があることを知りませんでした。
したがって、Y不動産には調査・説明義務がなく、媒介責任もありません。
しかし、今回の土地には地中埋設物があることから、このまま建物を建ててしまうと、建物が不同沈下を起こすなど重大な影響を及ぼす可能性があります。
したがって、土地の品質・性能を阻害するような埋設物の存在は「瑕疵」にあたり、そして
買主が知りえなかった瑕疵は、「隠れた瑕疵」にあたります。
よって、買主Bは売主Aに対して瑕疵担保責任に基づく損害賠償請求をすることができます。(民法570条)
Y不動産としては、売主Aに対して瑕疵担保責任期間内であり瑕疵担保責任があることを説明し、買主Bとの話し合いに応じることをすすめ、負担した損害金については建物廃材を埋めた解体業者に債務不履行責任に基づく賠償請求ができることを助言して収めることがベストです。
今回のように地中に埋設物や土壌汚染があることがありますので更地であっても購入前に売主さんに聞いておくことは必要だと思います。