今年に入って2回目のコラムになります。
東京都総合不動産コンサルタントの渡邊です。
今回は、心理的瑕疵の説明義務について
書いてみたいと思います。
その前に、瑕疵といってもいろいろあります
ので、瑕疵の種類をご説明させていただきます。
①物理的瑕疵
建物に関する瑕疵や土壌汚染等
②法的瑕疵
建築制限等の法的な瑕疵
③環境的瑕疵
騒音・振動・悪臭・迷惑住民等
④心理的瑕疵
自殺・他殺・孤独死等
今回は④の心理的瑕疵の説明について
書いていきたいと思います。
事例1
Bさん夫妻が一戸建てを探しておりました。
そこで、近くのC不動産に一戸建てを探してほしい
と依頼しました。
すると、その場にいた担当者が築20年のいい物件が
ありますよと説明してきたので、その物件を見に行
くことにしました。
その一戸建ては、築20年にしては外観がすごくきれい
だったので担当者に伺うと、「実は、5年前に火災が
あり、一部が焼失したのですが、被害が軽かったので
建て替えずに改築したのです。」という説明がありま
した。
たしかに、外壁も屋根もリフォームされて築20年とは
思えないほどのきれいな建物でした。
Bさん夫妻はとても気に入り、早速契約しました。
ところが、その一戸建てに引越してきてたので、Bさん
夫妻は近隣に引っ越しのあいさつに伺ました。
すると、
近所の方から、5年前火災があり、その時の火災で逃げ
遅れた人がいて、一人が亡くなってしまったのよ。と
聞いてしまいました。
Bさん夫妻は、C不動産が案内していただいたときに
5年前に火事があったことは聞いていましたが、まさ
か死亡事故があった家とは聞いておらず、急に気持
ちが悪くなり、C不動産に契約解除の申し出をしま
した。
C不動産としては、5年前の火災の事故について
売主から聞いていましたが、逃げ遅れた事故なので
不要と考えて説明しませんでした。
このような場合、不動産業者は、死亡事故がなく
ても、火災があった事実及び修復工事の内容等を
説明する必要があります。
よって、今回の場合はどうかというと、似たような
事件の判例が、平成22年3月8日東京地裁であり
買主に対する瑕疵担保責任が認められ、代金の
1割相当額が認められております。
※法律的な問題は必ず弁護士にご相談ください。